＊ ページ31
全てが元通りに修復された特設会場を、私は漆黒のベールの内側から満足気に見遣った
ハプニングに見舞われたとは思えないコロシアムの様相に一人ほくそ笑む
「おや、お主がこんな催し物に来るとは意外じゃった」
「…あなたでしたか、リリア」
まもなくVDCが開演するという頃に、長い付き合いの妖精が己の寮の子らを連れてやってきた
ディアソムニアの生徒らは私に礼儀正しく会釈する
「立ち話もなんじゃし、座るとしよう」
「そうですね」
リリアに促され適当な席に腰掛ける
他の子らは気が引けたように恐る恐る私を避け、リリア側に座った
「なんじゃお前たち。この者が恐ろしいのか？」
「い、いえ、そういう訳では…」
「…恐れ多いだけです」
くすくす笑う妖精を「揶揄うのはよしなさい」と窘める
「それにしても最近よく学園におるな。何か心配事か？」
軽く世間話を振ってくる妖精に、私は暫し逡巡して頷く
「…そうですね。あの女狐の事が少し」
「監督生の事か。…ふむ、お主がこれまで
リリアの言葉に首肯を返す
「えぇ。あまりにも性格がかけ離れています。本来の監督生はとても気持ちの良い人間でした
あなたの姫君ともとても仲が良かったのですよ
そう言うと妖精は目を輝かせてこちらを振り返った
「"深淵の君"の話か！ここには居ないわしだけの姫君！」
突然の妖精の興奮に寮の子らが驚いて目を剥く
「あなたの姫君の話は置いといて…
とにかく、この世界は縺れているのです。私のせいではありますが」
何の話だとリリアと私以外が首を傾げた
無理もない。こんな荒唐無稽な話、リリアにしか打ち明けてないのだから
「なるほどなぁ、それで最近今まで以上にAに目をかけているのじゃな」
「そういう事です。あの子は私の…」
「私の？」
リリアが小首を傾げる
私は一呼吸置いて、言った
「…私の、"夢"ですから」
会場が歓声に包まれた
本日の一大イベントが幕を開けようとしている
「…夢は人に託すものではないぞ」
「……」
その忠告には耳を塞ぎ、私は徐ろにスマホを取り出した
「お主がスマホ？どうしたんじゃ急に」
「此度の催し、投票はスマホで行うと聞きました。ならば契約するのも当然」
「…楽しそうで何より」
さぁ推し
今日も目一杯輝け推し！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 530人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くらげ - 待って、、、ロスカゲートじゃない、、、、、すみませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！！！！！！！！！！！！！ (12月3日 10時) (
レス) @page50 id: 09404ca91f (このIDを非表示/違反報告)
くらげ - "深淵の君"ってえ！？王子様がくるその日までのロスカゲートちゃん！！？？いろんな世界線ある！？やべぇ！！！これからも応援してます！！！！ (12月3日 10時) (レス) @page31 id: 09404ca91f (このIDを非表示/違反報告)
あ - 天才か 夜中に見て感傷に浸ってる (2023年1月10日 2時) (レス) @page50 id: af6608e558 (このIDを非表示/違反報告)
ふみ(プロフ) - ぷりんせす わんこ見たいです🥺 パスワード教えて欲しいです…作者様の作品が全部良すぎてお気に入りです。 (2022年12月19日 19時) (レス) id: ace6ee2d95 (このIDを非表示/違反報告)
みみ - ぷりんせすわんこ見たいです...🥺パスワード教えてほしいです...作者様の作品全部が神すぎて..... (2022年12月4日 15時) (レス) @page50 id: b8f7239a75 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2021年10月12日 15時
