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総長に連れられた先___コロシアムは昨夜までの様相とはかけ離れていた

瓦礫の残骸で成り立つ荒地


私はその凄惨な現場に身震いした



「一体何が…」

「オーバーブロットだ」

「オーバーブロット!?」


誰がそんなことに…と考えた所で、ここに来る前の総長の言葉を思い出した




___愛する人を救いたいか





「ッ…!」


気付けば、私は駆け出していた

総長はそれを止める事無く私を見送る



「はぁ、っはァッ…!」


息を切らし、なりふり構わず走った

通路を抜け彼の元へ、私は行く




光が、見えた






「___ヴィルくんッ…!!」




声の限り、私は大好きな人の名を叫んだ








「……A?」






果たして、私の想い人はいた


けれどその姿はいつもの自信に満ちた、誰もが平伏す美の体現者とは程遠い


「なんでアンタ、こんな所に…」


ヴィルくんは顔や身体中に傷を拵え、満身創痍だった

一人で立つこともままならないのかルークくんに支えてもらっている




「よがっだあ"ぁああッ」

「あ、ちょ、アンタッ」

「生ぎでる"ぅう!!」


涙を撒き散らしながら抱き着くと、仕方がないなといった雰囲気で彼が私の頭を撫でた

これじゃどちらが怪我人か分からない



「で、何でこんな所にいるの」

「ヴィ、ルくんがオーバーブロットしたって聞いでぇ!」

「だから誰に…」




「私だ」




ざわり、と空気が震える


微笑ましくやり取りを眺めていた面々が、突如現れた女王に顔を強ばらせた



「安心しろ。私以外にこの惨状に気付いた者はいない」


それにしても酷いな…と総長が呟く



「疫病神め。また貴様が関わっていたか」

「はぁ?たまたまだし」


総長がユウちゃんを見て苛立つ



彼女と目が合った私は物凄い顔で睨まれてしまった


…あ、私ヴィルくんと抱き合ってる…





「ヴィル・シェーンハイト」

「…はい、総長」


総長がヴィルくんを呼ぶと、空気が緊張に包まれた

皆がこの惨状の責任を問われると、そう思った



しかし





「あなた、VDCにはもちろん参戦してくれるんでしょうね?」


「……はい?」



総長の言葉に皆が口をポカンと開けた




「は…あの、責任の追及じゃ…」

「そんな事はどうでもいい。見たところ足を捻っているが、よもやVDCを降りるとは言わないだろうな」

「でも、この足じゃ…」


踊れないと呟くヴィルくん


そこで総長は一度頷くと、ベール越しに私を見つめた






「出番だ、A」

*→←*



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くらげ - 待って、、、ロスカゲートじゃない、、、、、すみませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!! (12月3日 10時) (レス) @page50 id: 09404ca91f (このIDを非表示/違反報告)
くらげ - "深淵の君"ってえ!?王子様がくるその日までのロスカゲートちゃん!!??いろんな世界線ある!?やべぇ!!!これからも応援してます!!!! (12月3日 10時) (レス) @page31 id: 09404ca91f (このIDを非表示/違反報告)
- 天才か 夜中に見て感傷に浸ってる (2023年1月10日 2時) (レス) @page50 id: af6608e558 (このIDを非表示/違反報告)
ふみ(プロフ) - ぷりんせす わんこ見たいです🥺 パスワード教えて欲しいです…作者様の作品が全部良すぎてお気に入りです。 (2022年12月19日 19時) (レス) id: ace6ee2d95 (このIDを非表示/違反報告)
みみ - ぷりんせすわんこ見たいです...🥺パスワード教えてほしいです...作者様の作品全部が神すぎて..... (2022年12月4日 15時) (レス) @page50 id: b8f7239a75 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ニノココ | 作成日時:2021年10月12日 15時

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