#37優しい彼 ページ40
な「・・・あれ?」
「あ、それ左耳用です」
なーくんは左耳用のイヤホンを頑張って右耳につけようとしてたけど、なんかしっくりこないらしく首を傾げていた。
な「あ、そうなんだ!・・・じゃ、ちょっと失礼します」
そう言ってなーくんがわたしのすぐ隣に座った。え、え、距離、距離!!!
わたしとなーくんの間には1センチぐらいの隙間しかない。なーくんからは、柑橘系のいい匂いがする。
な「・・・あ、よしよし」
耳にフィットしたのか、なーくんが満足そうに頷き、わたしのことを横目で見た。
な「ごめんね、暑かったりしたら言ってね?俺右につけ直して離れるから」
申し訳なさそうにいうイケメンに、何も返事ができなかった。それを肯定ととったのか、なーくんが再生ボタンを押した。
な「てんてんてんてんてーん!」
なーくんが口ずさむ。成人男性が「てんてんてんてんてーん」!成人男性が「てんてんてんてんてーん」・・・!
電車が少し揺れるたびに肩が触れ合う距離。わたしよりもずっと長いまつ毛。綺麗にセットされた髪。成人男性が「てんてんてんてんてーん」・・・!
どうしよう。今の状況に緊張しすぎて曲が全然頭に入ってこない。
な「・・・曲、終わったよ?w」
なーくんがこっちを向いて笑う。待って、こっちを向かないで。ち、近い・・・!何も言えずになーくんを見ると、先になーくんが目をそらした。
な「・・・えっと、じゃ、次乙女解剖!」
なーくんが再生ボタンを押した。
ガタンッ
な&A「いたっ!」
その時、電車が大きく揺れてなーくんとわたしの頭がごちんっとぶつかった。結構痛い。
な「ごめん!!大丈夫!!??」
なーくんが慌ててイヤホンを外してわたしの前髪をかきあげた。
な「ごめん、嫌かもしれないけど、あざとかになってたら大変だから」
なーくんがわたしのおでこをひと通り確認してくれた。
な「・・・よかった!今のところは大丈夫みたい!」
なーくんの言葉にわたしも安心した。
な「でも、もしこのあとなんか頭痛いな、とか、気分悪い!ってなったら俺に言って!!俺がおんぶしてでも病院に連れてく!」
なーくんはほんとうに優しい。今だって、かきあげた前髪を申し訳なさそうに元のように整えようとしてくれている。
「なーくん、聞きたいことがあるんです」
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Mona@イキり同盟(プロフ) - 初コメ失礼します!のりさんの小説は、良い意味で暗い感じがシリアスで面白いです!これからも体調に気をつけて更新頑張ってください!(*´ω`*)長文失礼しました!ps'因みにイキってないです(笑) (2020年3月31日 20時) (レス) id: 24e03cbe5d (このIDを非表示/違反報告)
じんじん(プロフ) - 続編おめでとうございます!莉犬くんの活躍楽しみにしてます♪ (2020年3月31日 16時) (レス) id: ddfea8250b (このIDを非表示/違反報告)
れもん - 続編楽しみです!毎話面白く、毎日この小説を読みに来てます! (2020年3月31日 14時) (レス) id: 0d4cdffdc2 (このIDを非表示/違反報告)
*紫月璃優*(プロフ) - 続編おめでとうございます!!続編も頑張ってください、楽しみにしてます!!毎回この作品通知に来てないかなと五分に1回程度は見てしまうほどこの作品愛してます!!w (2020年3月31日 9時) (レス) id: 0df71cded5 (このIDを非表示/違反報告)
海(プロフ) - 毎回楽しみにしています。さとみくんの切なさに涙が出そうです。。 (2020年3月30日 18時) (レス) id: 5916594f72 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のり | 作成日時:2020年1月7日 12時