第7話 ページ7
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｢……仮に俺がそこに戻ったとして｣
ルノアールはメリオダスから背中を向け、鋭さのある声で言葉を繋げた。
｢そんなの誰が喜ぶんだ？勝手にお前達の元からいなくなった奴が突然現れて、戻って来ましたってへらへら笑って言える立場か？｣
……それに今は、八つの大罪じゃなくて七つの大罪だろ、とポツリと呟かれた。
それはつまり、自分の居場所が無いと言われているようなものだった。いくら団長であるメリオダスに戻って来いと言われても、居場所が無ければ、いる意味も無い。
ルノアールはフッと笑った。
｢ま、お前達が嫌いだと言うのが一番の理由だけど。さあ、元仲間だった奴に殺されたくなければ、さっさと王女様を連れていなくなるん……｣
だな、と言う寸前、背後からギュウッと抱きしめられた。逃がさないと言わんばかりに、お腹に腕を回す力を強め。
｢そんな嘘つくなよ｣
ルノアールの背にメリオダスは額をくっつけた。
｢今は七つの大罪だから何だって言うんだ？お前の居場所なんて俺達がいくらでも作ってやる。だから胸を張ってあいつらと会えよ｣
｢…………｣
｢ルノ｣
メリオダスは愛称を込めその名を呼ぶ。
共に国王直属の騎士として、幾度と任務をこなしてきた元仲間の背は、僅かに震えていた。
刹那――ゾクッとメリオダスに悪寒が襲った。
禍々しい、どす黒い何か。または殺気のようなものが全身に走り、危ないと頭が警告している。
しかしそれは一瞬で去り、メリオダスはルノアールの背にくっついたまま、驚きが隠せなかった。
(…この力は……！！)
知っていた。誰よりもその力を。
女神族に封印されたはずの、あの魔神族と酷似した――いやその物だと言っても過言ではない、恐ろしい魔力を。
どこでそんな力を、と言う前に、フフ…と背中越しに笑い声が聞こえてきた。
｢お前が思ってるほど俺はいい人間じゃないよ。…いや、力に囚われてしまった俺は、すでに人間でも、何者でもないな｣
クツクツと自嘲に笑い続けると、メリオダスの腕を解き、振り返った。
動揺を隠せない彼の表情を見たルノアールは、歪んだ笑みを貼り付けたまま、しかしその目は笑えていない。
｢メリオダス様！ルノアール様！｣
不意にエリザベスの声が聞こえた。
こちらに向かって走って来る足音は、ルノアールとメリオダスの間に割って止まった。
｢け、喧嘩は止めてください！！｣
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