第6話 ページ6
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だが、エリザベスには気になる事が2つあった。
何故、自国の聖騎士達がルノアールの周りに倒れているのか。
そして七つの大罪達の体の何処かには、獣のシンボルが刻まれているはずなのだが、元八つの大罪としていたルノアールには、それが見当たら無かったのだ。
(でも、怖い人では無さそう……?)
少し離れた所で、動きが自由になったメリオダスが何の理由でこうなったのか、ルノアールの蹴りを躱し続けていた。
「ルノ、俺達に力を貸してくれ」
「嫌だ」
「聞きてぇ事も沢山あんだ」
「俺には無い」
「そこの聖騎士達は何故お前を狙いに?」
「知らない」
ブンッと頭を狙った蹴りをメリオダスは屈めて避け、その足を掴み放り投げた。
「ルノアール様――!?」
エリザベスが咄嗟に叫んだ。
数メートルまで勢いよく吹っ飛ばされるルノアールの体を、一瞬で距離を詰めたメリオダスがマフラーをグッと掴み、そのまま地面に叩きつける―――寸前、ニッと口の端がつり上がった。
「本当、変わらないな団長」
「!」
ピクッと反応し、掴んでいたマフラーに力が緩んだ隙に、ルノアールはメリオダスの腕を掴み背負い投げをやる。
小さな体は叩きつけられ、衝撃で地面が抉れた。
「っ……んにゃろう」
ペッと血を吐き捨て、メリオダスが立ち上がった。
擦り傷だらけのその顔は、どこか嬉しそうな表情をしていた。
「今の中々痛かったぞ」
「痛くしたからな」
当然だと清まし顔をするルノアール。
「でもそれが本気じゃねーだろ?」
「お前だってそうだろ?」
「まあな。………なあ、ルノ」
突然メリオダスが真剣な表情に変わり。
「お前がいないとダメだ。やっぱり戻って」
「来ないから」
団長としての願いを速答で断られ、メリオダスはちぇっと唇を尖らせた。
「頑固」
どうして執拗までに、七つの大罪として戻るのを拒むのか分からない。
団員達の関係も特に悪く無かったし、寧ろ良かったはずだ。バンとはいつも晩酌を交わし、ディアンヌとはよく会話をするほどで、キングだって…。
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