【七つの大罪】虚飾の影法師 (ページ16)

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第16話ページ16

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｢全部聞いたぜ。あんなに断ってたのに、意外とあっさり力を貸してくれんだな？｣

｢……何か、勘違いしてるみたいだな｣

えっ？とキングとピンクの豚の声が揃う。
手許にあった短剣を自分の影に落とすと溶け込み、消えた。
ルノアールは歩きだし、三人と一匹の間をすり抜け一階に下りようとする。

｢どこに行くんだよ｣

もうどこにも行くな、と目で訴えるメリオダスだったが、ルノアールは顔だけ振り返ると、どこまでも冷たく告げた。

｢俺が力を貸すのは“エリザベス王女の為”であって“お前らの為”じゃない｣

もう大罪の団員として俺は戻らないし、どう説得しても無意味だ。
そう言うとルノアールは、メリオダス達の視界から居なくなってしまった。

｢……そんな言い方しなくても…ね？｣

気まずくなる雰囲気に、慌てて口を開いたキング。

｢気にすんなって。いつもツンツンした奴だしよー、いや前の方が柔らかかったか？｣

刺された所、既に傷口が塞がれていたがペタペタと触れながらバンが呑気に言うと。
部屋からエリザベスが出てきた。

｢皆さん……｣

三人の複雑な表情が見て取れた。
何かあったのか、なんて大罪の団員でも無い自分が割り込んで訊くのは禁句に近いだろう……。
エリザベスは明るめの声で、少し違う質問した。

｢あの、ルノアール様はどこに行きましたか？｣

キングとバンは団長に視線を送り、顎に手を添え考える素振りをしていたメリオダスが｢だったら違う方法で……｣とブツブツ呟いていたが、エリザベスに顔を向けると外見相応の無邪気な笑顔でこう言った。

｢エリザベス！一緒にルノアールを捕まえてくれ！｣

｢え…？｣

｢｢ええっ！？｣｣

キングとピンクの豚･ホークがまたもや声揃って驚く。バンはカカッと面白そうに笑っていた。

｢今追いかければまだ間に合う！｣

｢ちょっと待て！どうしてそこまであの冷淡野郎を仲間に戻したいんだ！？あいつがいなくたって、おめーら充分強ぇじゃねーか！！｣

鼻息を荒げながら止めようとするホークに、ドスッと一発メリオダスが蹴りをいれた。

｢関係ねーよ。……あいつ、俺達の前に姿をくらましてから何かあったんだ。右も左も、先も見えなくてずっと苦しんでる｣

ボソッと呟かれた言葉はエリザベス以外聞こえなく、メリオダスは彼女の手を引き、ルノアールの後を追いかけていった。