第14話 ページ14
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「…正直、国が滅びようがどれだけ多くの血が流れようが、俺には関係無い話だな」
「っ…!?」
冷ややかな返事に衝撃を受け、どんどん目頭に涙を膨らませていく中、しかし柔らかい声色で続いた。
「けど、第三王女はそれほどまでに国を、人々を大事に思ってるんだと言う事はわかった」
「………」
エリザベスはキュッと唇を閉ざす。
断られた、と言う事で頭がいっぱいでついていけなかった。
あんなにはりきって、頑張るとメリオダスに言ったのに。
自分は戦う力が無ければ、人を説得させる事も出来ないのだろうか。
エリザベスは悔しくて、そして自分があまりにも非力だと言う事に改めて気付かされ、それが形となり涙が頬から伝い落ちた。
その時、ガタンッと椅子が鳴った。
視界が揺らいでいてよく見えなかったが、ルノアールがこちらに近寄ってくるのが、分かった。
「自分の為じゃなく相手の為を思って泣けるなんて、本当変わった王女様」
エリザベスの前に立つとそっと頭に触れ、ポンポンと優しく撫でた。
「後人の話、ちゃんと聞こうな」
「……え?」
キョトンとすると、額にデコピンされた。
「関係無いとは言ったが、“力を貸さない”とは言ってない」
「そ、それじゃあ!!」
ルノアールは頷き、エリザベスにはっきりと答えた。
「気が変わった。力を貸してやる」
思わず、ルノアールの両手を自分の手に重ね合わせた。
「ありがとうございます…!本当にありがとうございます…!」
何度もお礼を述べれば「別に」と短く返された。浮かんでいた涙をエリザベスは拭わせ、周りを和ませてしまうような微笑みを浮かべた。
一瞬、その笑顔でくしゃりと歪めたルノアールだったが、握られた手を解き、閉まっているドアに視線を向ける。
「……四人、か」
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