【七つの大罪】虚飾の影法師 (ページ1)

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第1話微睡む遠き記憶ページ1

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昔々、人を破滅に導く七つの『罪』の名を冠した、リオネス王国国王直属の騎士団があった。

その名は『七つの大罪』。
王国最強、いやブリタニア最強と呼ばれていた七人だが、正式に結成される前にもう１人、虚飾の罪と言う２つ名を背負った人物がいた。

虚飾の罪(ｸﾞﾘﾌｫﾝ･ｼﾝ)――ルノアール。

彼女が操る魔力はどの大罪にも劣らない力を持ち、随一の拘束能力を持っていた。ブリタニア中から集められた大罪人の１人であった彼女の存在は、団員達にとって掛け替えのない大事な仲間であり良き戦友だった。

一時は『八つの大罪』として活動していた時もあったが、彼女は突然仲間とリオネス国王の信頼を置き去りに姿を消してしまった。
団長である彼は一人物思いにふける。
どちらかと言えば戯れるのは好まず夜を好み、任務は十二分にこなし、何の理由も無くいなくなるような奴ではない。複雑な気持ちになりながも、きっと彼女なりの事情があったに違い無いと信じる事にした。

大罪が１つ欠けてしまった騎士団は国王の提案で、虚飾は傲慢と合併する事で『八つの大罪』は『七つの大罪』として正す事になり、後に彼等は聖騎士長殺害及び、王国転覆を謀った反逆罪としてお尋ね者になるのだった――……。

｢と言う話だ｣

長い話を終えた少年はカウンターに頬杖し、目の前の銀髪の少女に向け小さく笑う。
聖騎士達のクーデターにより、自国を救いたいと七つの大罪を頼りに旅に出ていたリオネス王国･第三王女のエリザベスはその１人、団長である憤怒の罪(ﾄﾞﾗｺﾞﾝ･ｼﾝ)のメリオダスの懐かしむ素振りを見て微笑ましくなった。

｢もしかして次に七つの大罪……いえ、八つの大罪を探すのはルノアール様ですか？｣

メリオダスはおう！と言い、近くにあった紙とペンを取り出し、さらさらと何やら描き始めた。

｢バイロンって町の前に森があるんだが、そこでルノらしき人物を見かけたって噂があってな……今まで情報１つ手に入らなかったのに、どういう風の吹き回しだろうな～｣

そこまで言うとペンを走らせていた手を止め、エリザベスの顔の前に紙が突きだされた。
殴り書きで描かれたそれに、少し身を引く。

｢あ、あの…これは？｣
｢ん？ルノアールだ！｣
｢ええっ！？｣

ガタンッと席から立ち上がり、エリザベスは彼が描いた紙を手に取りまじまじと見つめた。
人間(？)のようなものが暴れて、火を噴いたように見える……。