検索窓
今日:11 hit、昨日:5 hit、合計:59,142 hit

*7* ページ7

風磨side






「俺が診ます。ご家族の方はいらっしゃいますか?倒れる前の状況などを聞きたいのですが」


「奥様は今、ご自宅に連絡をしておられます。もう間もなくお戻りになるかと」






聴診や血圧測定などを行って、何とかして倒れた原因を探ろうとする。


確かに医者を目指して医大に通っていた俺ではあるけれど、まさかこんなところでその知識を使うことになるとは思っていなかった。






「空港まではどれぐらいですか?」


「もう東京の近くまで来ています。あと20分ぐらいかと」


「恐らく肺気胸を起こしているんだと思います。20分待っている余裕はないので、ここで応急処置をしたいのですが」


「承知しました。すぐに用意できる処置セットをお持ちいたします」






そんなやり取りをしていると、どうやら“奥様”が戻って来たらしい。


気配からそう感じた俺はゆっくりと視線を上げて_________






言葉を失った。






「奥様、先ほどお医者様がいらっしゃいました。こちらで応急処置をして下さるそうです」






言葉を失っているのは相手も同じだったようで、息をするのも忘れるかのように俺のことをジッと見つめている。


そして、俺が届いた処置セットに手を伸ばしたその瞬間、彼女はようやく口を開いた。






「何をする気なの。貴方は_______医者じゃない、でしょ」






数年ぶりに聞いた声は、どこか冷え切ったものだった。


俺の姿を見て動揺しているのかと思っていたが、そうではないらしい。






「俺は_____医大に通っていましたが、事情があって除籍になりました。そうですね、奥様が仰る通り、医者ではない。止めましょう。俺はこれで失礼します」


「………待って。今この機内に、処置を出来るのは貴方しかいない。(人1)を助けて欲しいの。(人1)に何かあれば、私、社長に合わせる顔がないわ」






俺は再び倒れている女性の傍らに跪くと、処置するためにブラウスのボタンを外していく。




どうして彼女がここに居るのか。



あの頃には持っていなかったであろうブランド物の服を身に纏い、煌びやかな宝石を身に着け、“奥様”と呼ばれることの意味。


大して歳が変わらないであろう女性のことを呼び捨てにし、助けてほしい、社長に合わせる顔がないと懇願する理由。





何となくは、勘付いていた。






「貴女と、こちらの女性のご関係は?」





.





「彼女は________私の娘、です」






*8*→←*6*



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (113 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
480人がお気に入り
設定タグ:菊池風磨 , sexyzone
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:北斗七星 | 作成日時:2018年3月22日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。