検索窓
今日:8 hit、昨日:22 hit、合計:59,161 hit

*36* ページ36

No side






「お兄ちゃんも早く(人2)さんのことを忘れて、誰かいい人と付き合って。
さっきの人だって、すごくいい家柄の人みたいだし、本当にお兄ちゃんのことが好きみたいなのに。

どんなに待っていても、(人2)さん、もうお兄ちゃんのところには戻って来ないよ」






平静を装い家を出た風磨だったが、扉を閉めた途端、今言われた言葉が頭を駆け巡った。




物思いに耽る彼のポケットで、携帯が震える。


取り出して、(人1)からの着信であることを確認した彼は、落ち着いた様子で電話に出た。






「どうしました?キスの場所、見つかりましたか?」





どこか悪戯っぽく投げかける風磨に、(人1)からは意外な答えが返ってくる。






『愛のために王座を捨てた人の名前、10人挙げてください』


「………エドワード8世、ピョンガン姫、花より男子の道明寺司、ナンナン姫、シュレックのフィオナ姫、……」


『会いたいです』





いつになく素直な(人1)に、「会いに行くから」と居場所を尋ねる風磨。






『沖縄に居ます。那覇にある 東堂グループ所有のリゾート地。ここは、亡くなった母が大切にしていた場所なんです。
私と母の思い出が残る唯一とも言えるこの場所を、売るみたいなんです。社長と新しい妻が。

私は売却されるのを阻止するために来ました。でも、阻止出来ない可能性は90%』


「成功する可能性、随分と低いんですね」


『えぇ。もしここが売られたら、私は王座から去るつもりです。
まぁ、正確に言えば、追い出されるんですけど。もし私が無一文になったら……』


「来てもいいですよ」






風磨がそう即答してくれたことで、(人1)は何かの決意を固めたようだ。






「昔ながらの古臭い家だけど、部屋ならあります。俺の部屋も、妹の部屋もあるし、友達の部屋だって。
お茶碗も余分にあるし、もちろん布団と枕も」


『OK!じゃあ、その言葉を信じます。諦めた方が良さそうなら、とっとと諦めて、勝ち目が無かったら早めに降参します。
それまでは、私の幸運を祈っていてください』






そう言って、どこかスッキリした表情で立ち上がった(人1)のもとへ、(人2)がやって来た。





『あら、どうしたの?こんなところで』





嫌味っぽく発せられたその声は、受話器の向こうの風磨にも聞こえている。






*37*→←*35*



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (113 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
480人がお気に入り
設定タグ:菊池風磨 , sexyzone
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:北斗七星 | 作成日時:2018年3月22日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。