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(人1)side






「どういう意味よ…」


「言葉通りの意味、だけど。俺が本気で口説いたら、アンタはどうすんの?受け入れるのか、受け入れないのか」


「……ふざけないで。私、こんな話をする為に来たんじゃないのよ?」


「じゃあ、どんなつもりで助手席に乗り込んだわけ?」






何を言っても無駄だと思った。


この男が何を考えているのか分からないし、別に分かりたくもない。






「……私降りるわ。早く車を止めて」


「俺、目的地に到着するまで休憩しないタイプなんだ。最初に言ったよね?」






真っ直ぐ前を向いたまま、少しも表情を変えることなく、淡々とそう言ってのける彼。



気付けば、いつの間にか車は高速道路を走っていて、私は溜息を溢さずにはいられなかった。







本当に一度も休憩をしないまま走り続けて、車は目的地に着いた。


道路標識に書かれている地名は今まで聞いたことがないもので、一体ここが何処なのか分からない。






「ねぇ、ここ何処なの?街灯も少ないし真っ暗だし、」


「遠くまで行くって言っただろ。ほら、早く降りて」


「ちょっと、!!」






車を降りて歩き出す彼を見て、私は慌てて助手席のドアを開ける。


小走りで彼の後ろをついていけば、彼はピタッと足を止めて振り返った。






「あそこの横断歩道を渡って 来た道を少し戻れば駅に向かうバス停がある。今ならまだ間に合うよ」


「は、?」


「ここ田舎だし、早くしないと終電無くなるけど?」


「何なの、早く帰れって?バカにしないでよ。こんな遠い場所まで来たんだから、アンタが何をするのか見るわ!」






私の言葉には興味がないといった様子で、彼はまた歩き始めた。




その先にあるのは古びた食堂のような場所。


何組かのお客さんが食事をしているが、そのなかで一人だけ、異様な雰囲気を纏った中年男性がいた。






「ふざけるな!(人3)の奴が通報しやがった。ギャンブルと暴力だって?そんな何の証拠もないことで、警察に行く羽目になったじゃねぇか!!」






店主であろう中年女性を口汚く罵った男は、近くにあったテーブル上の食器類を床に叩きつける。


そして、男が怒りに任せて女性を突き飛ばすと、その異様な状況に怖くなったお客さんが何人か店から出て行った。






「あの小娘のせいで、俺は警察にまで行く羽目になったんだ。お前がちゃんと教育しないからだろ!!」






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作者名:北斗七星 | 作成日時:2018年3月22日 18時

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