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(人1)side






久しぶりの休日。



日頃のストレスを発散させる為、私は出掛ける準備をしていた。






「ねぇ、貴女も一緒に行く?」






そう声を掛けて手に取ったのは、1つのお人形。



幼い頃に買ってもらったそれは、大人になってから再び私の元へやって来た。


父は「女らしさは全部捨てろ。強くなれ」なんて滅茶苦茶なことを言って、私のおもちゃなどを全て取り上げてしまったけれど。


そんな中でこのお人形だけは、母がこっそりと隠し持っていたのだ。





.





青空の下、オートバイでオフロードコースを走る。



何も考えず、ただひたすら風を切っていく感覚が、私は堪らなく好きだから。


何か嫌なことがある度、こうやって宝物のお人形を連れて愛車を走らせるのだ。





いつものコースを軽快に入っていると、まるで私を煽るかのように一台のバイクが並走してくる。


負けず嫌いな私はムキになって、普段よりもスピードを上げた。




抜いては抜かれを繰り返しているうちに、並走していたバイクはバランスを崩して転倒。


勝ったことに対する嬉しさから調子に乗った私は______





加速し過ぎたバイクはブレーキが効かず、叫び声を上げる間もないままに、バイクごと崖へ向かって飛ばされていった。


ギリギリのところで何とか私は剥き出しになっている木の幹を掴んだけれど、耐え切れずに落ちてしまうのも時間の問題だ。


バイクは既に私よりだいぶ下で、大きな岩に食い込むようにして横たわっている。






「誰か、助けて…っ」






こんなところで、こんな無様な死に方なんてしたくない。


あぁ、勝負なんかするんじゃなかった。

バイクをまともにコントロール出来ないくせに、調子に乗って加速するんじゃなかった。




そんな後悔に苛まれていた、その時。






「ほら、もうちょっと頑張れ」






同年代だと思われる黒いライダースを着た男性が、私の腕をしっかりと掴んで そのままグッと引き上げた。



何とか引き上げてもらった時、幹を掴んでいた私の腕は痙攣していて。


あと少し遅かったら…と考えると、思わず寒気がする。






「大丈夫ですか?怪我はない?」


「……はい、」






とりあえずはホッとした私だったけれど、すぐにあることに気付いて崖を覗き込む。



そして、落下したオートバイの傍らにある、あのお人形を視界に捕らえた。






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作者名:北斗七星 | 作成日時:2018年3月22日 18時

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