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風磨side
『風磨、お願い…助けて、、』
熱を出して寝込んでいる妹のためにゼリーを手にして帰宅していた俺は、恋人からの着信で足を止めた。
機械越しに聞こえる悲痛な声は微かに震えていて、その先で起きている事態の深刻さを物語っているようだ。
「どうしたの、(人2)さん」
『……人が、…死んじゃった…』
「え、どういうこと?」
『………違うのっ、! 殺 す つもりなんてなかった…だけど、っっ』
「(人2)さん、落ち着いて?今すぐ行くから待ってて」
俺は踵を返して大通りに出る。
すぐに捕まったタクシーに乗り込むと、妹の看病をして欲しいと聡に連絡を入れた。
『………お兄ちゃん?もう帰って来る?』
「(人3)、ごめん。(人2)さんに大変なことが起きて、今から行かないといけなくなったんだ」
『……早く帰って来てよ…』
「ごめん、なるべく早く帰れるようにする。それまでは聡が行ってくれるから、な?」
まだ何か言いたそうな(人3)に申し訳なさを感じながらも、俺は電話を切って強く握りしめた。
その手が僅かに震えているように感じるのは、(人2)さんからの電話が脳裏を離れないからだろうか。
人が死んだ? 殺 す つもりじゃなかった?
それってどういう意味なんだよ。
.
教えられたホテルに向かうと、震えながら泣いている(人2)さんが俺を部屋に招き入れた。
ベッド横にのテーブルの角には血がべっとりと付いていて、その傍らには30代半ばぐらいの男性が力なく横たわっている。
「……仕事の話があるって言われて、それで…っ……ホテルなんて来るんじゃなかった」
「その格好って、もしかして____」
「…… 襲 わ れ そ う になって、抵抗したのよ。そしたら、」
俺は着ていたパーカーで彼女の身体を覆うと、そっと包み込むように抱き締める。
俺より3つ年上で、いつもしっかり者の(人2)さんとは思えないぐらい、酷く取り乱しているように見えた。
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作者名:北斗七星 | 作成日時:2018年3月22日 18時