【FGO】The Menders (ページ10)

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2．The Menders(2) ページ10

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｢…彼奴が引きこもってから何日目だ｣
｢………3日と15時間、ッスかね｣
｢あれからご飯もずぅっと食べてくれないの、……嫌だわ。お顔も見せてくれないのも、きっと優しさなのよね｣

隔週行われるサーヴァント会議。現状、マスターが召喚してきたすべてのサーヴァントが食堂に集っていた。
金色の魔術師、緑衣の弓兵、白百合の騎兵、赤い弓兵……吸血鬼の狂戦士…などなどそれぞれが彼を思いやり、憂い、その面持ちに曇りを飾る。
あぁ、重いったらありゃしない。

｢恥に恥を重ねたくないだけ、とも言うかもしれんな。彼は…今まで被ってきた仮面を無理に剥がされた状況にある｣
｢元より、完璧主義を己に強いる男ではあった。それを支える基盤たるものを失っては…さて、な。………辛かろう｣
｢…マシュは？｣
｢今もあの人の扉の前で延々と体育座り。専属だけあって心の痛みってのも共有されてんのかねぇ…｣

この状況が何から起きた物か。説明をしよう。

事は物語の最終局面において、我らがマスターを文字通り｢破壊｣した。
世界の終幕たるシナリオを牛耳る悪、魔術王を倒し、さあヒーロー物には当然の結末のように世界の人理は救われておきながら、失いし物は一人の人間の心を砕くのには十分な物だった。

マスターがただの人で、魔術師ですらない少年だった頃。そんな野良が、人理を救う最後の人間…マスターとして世界の命運を背負ってしまった"切り札"になり、そしてその仕事を務める過程を余すことなく見届けてきた者が居た。
｢ドクター｣と呼ばれるその男は、慈しみの目でマスターを親しみ、支え、常気遣い、幼き身には余る重荷を軽くしてやっていたのだ。

だがその者は、その者の役目によって、世界から消えた。

さらに、自分達のような"補充戦力"ではない、正規のサーヴァントたる彼の盾兵。彼女もまたマスターが為、世界の為に命を賭し、霧散した姿をも、彼は看取った。
その後彼女は紆余曲折を経てまた一人の人として蘇りはしたが、どうだ。マスターが真に失いし物は、どれ程の穴を作ったろう。
最早彼女一人で賄えるようなものでは到底無いはずだ。

しかし、だ。出口の端で聞いて居れば、心配症共の進展のない世間話など最早耳タコだ。呆れるったらありゃしない。
いい加減にしろ、とそう喝を入れんが為。忌々しくも小さき手で壁を叩く。