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3.王の財宝・貴方のための物語(3) ページ18





「貴様、王を前にして騙るとはどういう了見だ? "ジョーカー"」

灯も乏しいウルクの深夜。突然この地の王に呼び出しを食らったかと思えば、宮廷に赴いた先で、玉座に佇む彼は酷く憤慨しているようだった。
つい最近その知に刻んで貰えた名で俺を呼ぶ彼の目は、まるで蛇のようだった。
その紅玉に等しい美しさを潜めた瞳はきっと多くの人々を魅せ、萎縮させるのだろう。だが、その凄みに圧倒される俺ではない。
その程度で恐れていては、この誇り高き慢心王の目に敵うことは一生ないのだから。

特に返答はせず、その場に跪こうと足を床に付けば憎たらしそうな静止が宮内に響いた。

「止めろ。確かに貴様は我に使われる者であり、我に対する立場を理解しているというのも当然ではあるが、今すべき行為ではない事は気付けんかったか?」

その声は先より幾分かは和らいでいるが、それでも怒気を含んでいた。
機嫌を損ねない為に機微を見逃さぬよう、視線逸らすことなく立ち上がり、だが僅かに頭を垂れつつ次の言葉を待った。

「…フン、よかろう。我を心得たその振る舞いに免じてこれ以上の譴責は控えてやる。
だが先も言った造言については如何なるものか。弁明してみせよ。心当たりくらいあろう。…知らぬとは言わせぬぞ」

造言、とはどの事か。そう恍けた数秒後には首が飛ぶだろう。
彼の王が言うそれはきっと俺の名前のことだ。何時気付いたのかは知れないが、どうやらそれが"偽名"であることが気に食わないらしい。
些か偽名と言うには少し齟齬がある。言うなればあだ名だ。
しかし此れ以上の名…つまり本名と言えば、専属のサーヴァントである彼女にすら教えたことはなかった。
いざ教えるとなれば、それは、来たるべき時になるだろう。

そうやって大事に仕舞ってきた"宝"を、身内でない彼に明かしてしまうのは心が痛んでしまうのだ。

考えていたことをそのまま喋ればやはり首は免れないだろうか。嘘を吐くよりは良いと思っても、それで納得し、相手がそのまま引き下がってくれるようなタマではないことは今この場にある威圧だけで分かるだろう。ならば、どうすべきか?

「…あなたは知っているはずだ。英雄王ギルガメッシュ」

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作者名:らんぱく | 作成日時:2019年11月17日 7時

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