【FGO】The Menders (ページ13)

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2．The Menders(5) ページ13

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復讐者、かつ己のみの特権たる特殊な霊体化であれば、専属たる盾兵には気付かれず。彼を守る数多のパスワードは無視して。彼のマイルームに侵入することなど容易い。
己のエーテルではない異物を運ぶのに些か肩は凝ったが、あの作家は恐らくこちらの能力のみならず、マスターに出会う所以になった蜜事や、俺がこうまで執着出来る理由を見透かした上で敢えて呼びつけたのだろう。
ましてや恐らく俺以上に彼を恋い慕う、親しむ者達の者達の前でああも叫ぶのだから、こちらとしては既に胃が痛くなる事象だ。

｢千里眼でも持っているのか、あの作家は…｣

ああも完璧に仕上げられた舞台に立たされれば、嫌でもその真意が分かる。
俺が行き、俺がマスターを立たせる。それが皆の苦言や気遣いを喉元に収め、かつ俺の認知を作る結果になることも計画済なのだろうと思うと、さすが聖杯上限を得た物かと思考した。

｢エドモン、…悪いけど、かえって｣

既にマイルームの中。ココアとコーヒーは置きながらも、どうしたものかとうんうん考えていれば、予想通りの拒絶に霊体化を止めた。次いでに上着も帽子も解除しつつ、コーヒー片手に溜息をひとつ。
無論、理由も指示も聞くつもりで来たわけではない。黙ってベッド前の椅子に座れば、丸まった蓑虫がさらに丸くなる。

｢神父のような存在だったんだな、あの男は。…つくづくお前は俺と似ている｣

ぴく、と反応したような衣擦れの音。釣りをする訳では無い、……が、ルアーに噛み付かれたようだと思いはする。

｢だが、惜しいな。どうやらあの男が賭したのはお前ではなく、この世界全てだ。クク…お前など目にも入らないと言うかのように呆気なかったなァ？｣

あともう一押し、とダメ押ししてみれば。ガバッと布団を投げ掴みかかってくる酷い顔の男。お飾りの令呪を見せびらかして、今にも食われるのを待つ子犬のような覇気のない威嚇だ。
そんな眼で見られればここらの者達では加虐心を煽られる者も当然居よう、成程これは俺でなければいけない理由を把握した。が、俺とて、そう生易しい相対は出来ない。

今すぐに。抱きしめ、黒衣に包み込み、この仮初の温もりでその疵を埋めてやりたい。恩讐で足りる穴であればよかったのだろうに。それでは駄目なのだ。
悟られぬように胸の内で深呼吸をひとつ。これより敬愛すべき相手に刺す凶器の形を確かめて、そして、吐く。

｢お前は弱かったのではない。ただ、未熟だったのだ｣