【呪術廻戦】いつかここから連れ出して【五条悟】

補説 ページ35

悟「で、どう？どう？初めて術式使った感想は？」

A「感想も何も……。使おうと思ったんじゃなくて気付いたら、みたいな感じだったし、きっと本当に防衛本能で発動しただけだよ」

悟「えーっ、じゃあ今使おうと思っても出来ないわけ？」

A「うん……多分、出来ない。発動した時の感覚は覚えてるけど、どうすれば良いとかはさっぱりで……」



不思議な感覚だった。あの時だけは自分の呪力と悟の呪力とをはっきり感じた。
他者の呪力が溶け込む感覚。一瞬とはいえあまりに強烈で、思い出すだけで目が回りそう。



悟「まあ一度使えたわけだし、そのお陰か呪力の巡りも良くなってるし、大丈夫だと思う」

A「そっか……そうなのかな……」



ぐっぱっと両の手を閉じたり開いたりしてみるが、今は特に何も起こせそうにない。
ないけど、自分の体の中をゆったりと流れる……満たす……湛える……暴力的な“力”というよりはもっと穏やかなものを感じる。
これが呪力？思ってたよりずっと流動的で柔軟な感触かもしれない。



そもそもマイナスのエネルギーである呪力を術式に流し込むことで効果を得るのが、術式の基本の使い方、術式順転である。
それに対して、マイナスである呪力どうしをかけあわせることで生み出したプラスのエネルギーを自分の術式に流し込むことで、本来の術式の効果を反転させた技が術式反転だ。

めちゃくちゃややこしい。でも資料読み漁ってもこれ以上の表現が出てこないのだから仕方ない。



で、悟によると、さっき僕が使ったのは反転(・・)の方。

僕の“報復呪術”___悟が命名した___は、順転で受けた呪力を取り込み、それを反転で跳ね返すことが出来るというものらしい。

術式反転に必要なプラスのエネルギーを作り出して術式に流し込むという所業は、中々出来ることではなく、普通は順転を使いこなしてから次第に身に付けていくもの。だから悟はあんなに驚いていたのだ。



もう時間もあまり無いし、偶然とはいえ急に酷使するのも良くないということで今日の特訓はお開き。
窓板を利用して開閉式の扉を付けた例の小窓から悟を見送ったあと、尋常でない疲労感に、日課にしていた夜の筋トレもせずすぐに眠ってしまった。









(※呪力の感覚は捏造です。あくまで今のAくんの感覚と思って頂ければ……)

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