【呪術廻戦】いつかここから連れ出して【五条悟】

心願 ページ25

A「出る？……ここから？」

悟「そう。俺がここから出してあげる。
今はまだ現当主(ジジイ)に勝てないけど、俺が最強になって、Aを外に連れていく。
だから、一緒にここを出るって言って。……お願い」

A「そ、れは」



駄目だよ、と頭の中で冷たい声がする。
だって僕はここから出ちゃいけない。存在を誰にも知られてはいけない。
そう決められてるんだ、そういう運命なんだ。



悟「家の命令なんてアイツらの最低な都合、聞かなきゃいけない道理は無いだろ。こんなの間違ってる。
俺はお前の、Aの本心から出た言葉が聞きたいの」



悟の表情は真剣だった。
……ああ、悟は本気で言ってるんだ。
五条家相手にまだ10歳足らずの僕たちが歯向かえるって、ほんとのほんとに信じてるんだ。

不思議だった。今まで散々諦めてきたのに、悟がそう言うなら、もしかしたら本当に出来るかも、なんて。



外に出たい。もっと色んな景色を見たい、四季を肌で感じたい。
たくさんの人と出会って、話して、普通の生活を当たり前に過ごしたい。
賑やかな食卓で、家族(さとる)と一緒にご飯が食べたい。

この離れから、この家から出て、自由になりたい。
……自由に、生きたい。



A「僕は……僕も本当は……ここから、出たい。
お願い、悟……僕を、ここから連れ出して」



震える唇で、つっかえながら吐き出した、仕舞いこんで諦めていた僕の本心。

今まで我慢していた分が一気に溢れたみたいに、悲しくはないのに後から後から涙がこぼれて止まってくれない。
よく言えました、と悟は優しく背中をさすってくれて、僕より悟の方が何倍もお兄さんらしいやと思った。

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