自覚 ページ24
悟「A、自分に対する扱いを当然だと思って受け入れてない？
双子だから、呪術の才能が無いから、仕方ないんだって思ってない？」
やめて、言わないで。聞きたくない。
A「そ、んなことないよ……ちゃんと、分かってるよ」
悟「分かってるって、何が？Aは自分のこと何も分かってないよ」
お願いだから、もうやめて。これ以上、僕を覗かないで。
自分の気持ちに気付きたくない。
自分のことを惨めだと思いたくない。不幸だと認めたくない。
悟「理不尽なことに理由つけて、だから仕方ないことなんだって諦めて、感情殺して……
怒るのも悲しむのも、努力すんのも期待すんのも、もう辞めちゃったんじゃねーの」
A「ちがう！違う、僕は……！」
だって、そうするしかなかったんだ。
双子で生まれたせい、呪術の才能が無いせいにでもしてなきゃ、理不尽に耐えられなかった。
期待しても無駄、努力しても無駄、泣いて暴れたって無駄で、そんなの疲れるだけだった。
僕は生かされているんだと、生きていられるだけで良いんだと、そう思わなくてはいけないと思っていた。
本当は何度も何度も考えた。その度に蓋をして、忘れようとした。
双子なのに、どうしてこんなにも違うの。
写真から見える世界はこんなに広いのに、どうして僕だけがこんな思いをしなきゃいけないの。
それを認めてしまったら、僕は僕を、周りを、全てを許せなくなる気がした。恨んで憎んで、呪ってしまうと思った。
でも僕は、生まれてきたことを、選ばれなかったことを、選ばれた悟のことを、呪いたくはなかった。
だから、やめてしまった。
悟「いいんだよ。Aはもっと泣いて、怒って悲しんで……こんなの、恨んで呪っていいぐらいのことなんだよ」
A「でも、だって……」
悟は酷い顔をしていた。眉を寄せて、今にも泣き出しそうな表情には、心配と焦りと懇願とが見えた。
どうして……どうして悟が、そんな顔するの。願ってたいのは僕の方なのに。
言葉がぐ、と詰まって、頭の中ももうぐちゃぐちゃになって、悟の手を握り返すことしか出来ない。
僕も今きっととても酷い顔をしている。
悟がそっと手をほどいて、僕の頬に触れた。
親指で目の下を拭って、離れて、そして言った。
悟「A、一緒にここから出よう。……出たいって、言って」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 831人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
梅チョコ(プロフ) - Part1完結しました！ありがとうございました(* ´ ▽ ` *)続編もよろしくお願いします〜！ (2021年3月27日 18時) (
レス) id: 89e33c10ef (このIDを非表示/違反報告)
梅チョコ(元Thatn)(プロフ) - ﾋｴｯ……待って……書きかけのお話を非表示でこそっと更新したつもりだったのに出てた……(´；ω；`) (2021年2月12日 20時) (レス) id: 89e33c10ef (このIDを非表示/違反報告)
Thatn(プロフ) - トップにそれっぽいこと書いてる癖に、未だ男主くんの術式が出てこないという……ね……あと変な時間の更新多い……(￣▽￣;) (2021年2月2日 13時) (レス) id: 89e33c10ef (このIDを非表示/違反報告)
Thatn(プロフ) - 蒼音さん» すみません！ボード見てなくて気付きませんでした……。私もボードの方に返信させて頂きました。長文ですが一読頂ければと思います。これからはボードの方もちゃんと確認します！ (2021年1月31日 8時) (レス) id: 89e33c10ef (このIDを非表示/違反報告)
蒼音(プロフ) - 読まれていない可能性があったので一応、報告を。コメント欄に入りきらなかったので、作者様のボードの方にて意見を書かせて頂きました。方針が決まったのであれば不要な意見になるかもしれませんが・・・。 (2021年1月31日 2時) (レス) id: 70bc04b5ba (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：梅チョコ | 作成日時：2021年1月26日 0時
