畏怖 ページ23
悟「呪力は基本、人間の負の感情、強い想いから生まれる。
Aの場合は『他人の呪力を変換する』っていう術式の特性が、呪力の自己生成を邪魔してるのかもしんないけど……それでも普通だったら有り得ない少なさなんだ。
Aさ……何かに怒ったり悲しんだりしたこと、ちゃんとある?」
A「……ある、よ」
ドキッとして、一瞬言葉に詰まった。
でも流石にあるよ、あるはず……前に怒ったのは、悲しくて泣いたのは___いつだっけ?
悟「ほんとに?……自分でも気付いてんだろ?」
少し首をかしげて、じっと僕を見る悟。
今度は僕が気まずさから目を逸らしてしまう番だった。
悟が僕の正面に回り込むのを視界の端で捉える。
知らず知らず握り締めていた僕の両手をとって、悟はとびきり優しい声で言った。
悟「こっち向いて。俺の目見て」
おそるおそる顔を上げると、正面に座った悟とまっすぐ視線が交わった。
途端、言い様のない不安に襲われる。
あの小窓から初めて目にした時と同じ、逃げ出したくなるような焦燥感。
……怖い。
怖いのに、そのスカイブルーの煌めきから目が離せない。
硝子玉みたいなまるい瞳の中で、キラキラと光が踊っている。
その輝きでもって照らされて暴かれて、自分でも気付かないような奥底の暗い部分までも見透かされてしまいそうな、そんな恐怖。
僕の心中を知ってか知らずか、悟はそのまま、目を合わせたまま話しだす。
それは決して責めるようなものではなく、どことなく悲しげで、でも言い聞かせるような優しい声色だった。
悟「Aはさ、自分のことも他人事みたいに話すじゃん。なんていうか、こう、あんまり感情が籠ってないっていうか……
報告書読んでるみたいに、客観的な事実だけを淡々と伝えられてる感じ」
A「……ごめん」
悟「ほら、すぐそうやって謝る。悪いのは全部、本家の奴らなのに」
にぎにぎと悟が僕の手を握る。
固まってしまった僕をほぐすように、握り締めた拳を開かせる。
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梅チョコ(プロフ) - Part1完結しました!ありがとうございました(* ´ ▽ ` *)続編もよろしくお願いします〜! (2021年3月27日 18時) (レス) id: 89e33c10ef (このIDを非表示/違反報告)
梅チョコ(元Thatn)(プロフ) - ヒエッ……待って……書きかけのお話を非表示でこそっと更新したつもりだったのに出てた……(´;ω;`) (2021年2月12日 20時) (レス) id: 89e33c10ef (このIDを非表示/違反報告)
Thatn(プロフ) - トップにそれっぽいこと書いてる癖に、未だ男主くんの術式が出てこないという……ね……あと変な時間の更新多い……( ̄▽ ̄;) (2021年2月2日 13時) (レス) id: 89e33c10ef (このIDを非表示/違反報告)
Thatn(プロフ) - 蒼音さん» すみません!ボード見てなくて気付きませんでした……。私もボードの方に返信させて頂きました。長文ですが一読頂ければと思います。これからはボードの方もちゃんと確認します! (2021年1月31日 8時) (レス) id: 89e33c10ef (このIDを非表示/違反報告)
蒼音(プロフ) - 読まれていない可能性があったので一応、報告を。コメント欄に入りきらなかったので、作者様のボードの方にて意見を書かせて頂きました。方針が決まったのであれば不要な意見になるかもしれませんが・・・。 (2021年1月31日 2時) (レス) id: 70bc04b5ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梅チョコ | 作成日時:2021年1月26日 0時