【呪術廻戦】いつかここから連れ出して【五条悟】

理由 ページ19

悟「にしても、狭い部屋によくこんだけ……元から？それとも本は買ってもらえんの？」

A「うーん……半分くらいは頼んで足して貰った分だと思う。
明らかに本家にあったけど処理ついでに置きにきました、みたいな本もあるし、わざわざ新しく買ってきてくれたのもあるよ」

悟「……脱走とかされるより、読書しててくれる方が楽だもんな」

A「あはは、そうかも。……でも実際、それで満足してたし、このままでいいと思ってた」



悟が気まずそうに目を逸らす。あんまりこういうこと言うの良くなかったかなと思っていると、悟は斜め下の辺りで視線をさ迷わせて、やや遠慮がちに口を開いた。



悟「あー……そういえばちゃんと聞いてなかったけど、そもそも何でAはこんなとこに隔離されてんの？
双子だと後継ぎ争いが面倒だから？」

A「……それもあると思うけど、五条家から僕みたいな落ちこぼれが出たってことを知られたくなかったんじゃないかな」



和綴じの本を棚から抜き取って、黄ばんだ表紙を膝の上で開いた。
挟まっていた本家の家系図は相当古いもので読み取れない部分もあるけど、僕たち以前にも何度か双子が生まれたことが分かる。それから、術式の有無も。



A「……そもそも双子は凶兆だって言ってた。
後継ぎ争いが起こるから、家系が二分されるから……家系存続の危機だ、って」



隣に座った悟が、黙って僕の手元を覗きこむ。

夫婦の間から伸びた線は必ずしも一本線ではなく、所々ちゃんと枝分かれしていた。
家の都合で隠したり殺したりするなら最初から一人っ子として書けばいいものを、この家系図を書いた人は、表の記録からは抹消されてしまうような人の痕跡も律義に残していたのだ。

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