【呪術廻戦】いつかここから連れ出して【五条悟】

整理 ページ17

次の日はいつもより早く目が覚めた。
はっとして寝間着のまま2階に駆け上がると、小窓は割れたままだった。良かった、夢じゃなかった。

所々紅く染まって生い茂る木々の向こうから太陽の光が差し込み、秋の朝の冷たい空気が吹き込む。
綺麗だ。朝露に濡れた草と土の匂い、肌を撫でる冷気ですら、僕にとっては新しく素晴らしいものだった。



それからまず僕は廊下の掃除に取り掛かった。
窓枠に残ったガラスを慎重に取り除き、散らばったガラスの破片と砂を掃き、雑巾で丁寧に床を拭く。
指が凍えて痛かったけど、心はほこほこと温かかった。

4時になれば弟に、悟に会える。また話が出来る。






待ちわびていた４時。



悟「……それ、どうしたの」

　「ご、ごめん……悟が来るから綺麗にしようと思って掃除始めたんだけど、楽しくなってきちゃって……ちょっと待ってて、すぐ片付けるから」



廊下と階段を掃除したところまでは良かったのだが、ついでに部屋の本も整理しようと思ったのがいけなかった。
本棚から出しては分けて出しては読んで分けて……としていたら、案の定4時までに終わらなかった。僕の馬鹿。

まだ全部は分け終わってなかったけどいいや、と僕が端から本棚に突っ込んでいく間、
悟は部屋の各所にジャンルごとに積み上げられた本を、へーとかふーんとか言いながら見て回る。



　「昨日帰ってからとか今日来る時とか、大丈夫だった……？見つかったり、怒られたりとか……」

悟「全然ヨユー。そっちこそ、何も無い？」

　「無いよ。1日1回しか人は来ないし、それも食事を部屋の前に持ってきて次来る時に食器を持っていく、それだけだから」

悟「うわ……よく退屈しねーな」

　「退屈か……誰とも会わないのはちょっと寂しいけど、読書は楽しいから平気だったよ」



悟が信じられない、という目で僕を見てくる。
いや、ほんとに平気だったし、悟に会うまではそれで満足してたんだよ。

名前→←[呼称]

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す