【呪術廻戦】いつかここから連れ出して【五条悟】

小窓 ページ12

件の小窓を見に行くと、丁寧に外された窓板と釘抜き、割れた窓ガラスの破片と砂が廊下に散らばっていた。

……これはちょっと掃除が大変かも。せめて草履はここで脱いで欲しかった。



ガラス片を踏まないように気をつけながら窓辺に寄る。何度も思い返してはもう一度見たいと願った景色。
あの日の林は相変わらず適当に生い茂っているけど、見上げ見下ろしていた視線は、今は同じ高さにある。



　「やっぱりあの時見られてたんだね」

悟「3年前、この離れに誰かがいるって気付いてから、ずっと気になってた。
大した呪力も感じないのに、大人には特殊な呪具の保管をしてるから近付くなって言われるし、離れについて聞いたら露骨に逸らされるし……調べるのにだいぶ時間かかった」



六眼ナメんな、と言うその声に苛立ちが滲む。
そのうちの何割かは自分のために怒ってくれているような気がして、不謹慎にも喜んでしまう。

双子の片割れ、唯一の肉親と、こんな風に普通に会話出来る日が来るなんて思ってなかった。
かっと目頭が熱くなるのをぐっと堪えて、悟に向き直る。



　「……ありがとう。僕を、見つけてくれて」

悟「俺もまさか自分の双子が軟禁されてるとは思ってなかったけどね」



気まずさとか申し訳なさとかは全く感じなかった。お互いそういう話題には敢えて触れないようにしていただけかもしれなかったけど。

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