【呪術廻戦】いつかここから連れ出して【五条悟】

御陰 ページ21

A「……本当なら殺されるはずだった僕が見逃してもらえたのも、悟のおかげ」

悟「俺のおかげ？」

A「うん。本家の大人は、僕たちが産まれたら片方はすぐに殺すつもりだったんだ。
でも悟が六眼を持ってたから僕にも術式の相伝を期待する声が上がって、処分を先送りにして様子見することになった。
って彼女が……昔世話をしてくれた人が言ってた。」



あんまり話をしたがらなかった彼女でも、その辺の事情はよく教えてくれた。
今思えば、「立場を弁えなさい」というお叱りのようなものだったんだろうけど。



A「術式の有無は5、6歳で分かるって言われてるのに、本家の大人の一部は多分、まだちょっとだけ僕に期待してるんだ。
凶兆とされた双子なのに悟がどんどん凄くなるから。僕にももしかしたら何かあるんじゃないか、って……。

だから、僕が産まれてすぐ殺されなかったのも、術式が刻まれてないって診断されたのにまだこうして生きてられるのも、悟のおかげ」



感謝の気持ちを込めて向き直ったつもりが、悟はじっ……と僕の顔を凝視したまま動かない。



悟「……？ちょ、っと待って。術式無いって言った？」

A「え……あっ、僕言ってなかった、かも……？
その、六眼は呪力とか術式とかも見えるって言うから、悟はもう気付いてるんだと勝手に思ってて……！
ごめんね、悟は凄いのに、兄弟が落ちこぼれだなんてガッカリだよね……」



良くないって分かってるのに、ネガティブな言葉ばかりが口から出てしまう。
申し訳ない気持ちで更に早口になるのを、悟が遮った。



悟「別にそんなこと思ってないし？！
俺だって、Aに会って、双子いるって分かって、う……嬉しかったし……」



途中で恥ずかしくなったのか、尻すぼみになる。



悟「じゃなくて！俺が聞きたかったのはそうじゃなくて、一体どこのどいつが『術式刻まれてない』なんて言ったのか、ってこと。
Aにも、ちゃんと術式あるよ」

術式→←相伝

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す