【黒尾鉄朗】昼下がりの某現象・1 ページ6
*
学校の教室というのは、実に様々な音が響く。
教師が黒板にチョークを叩く音。ボールペンの頭をノックする音。誰かの椅子がガタンと鳴る音。教科書やノートのページをめくる音。クスリと笑う声に、誰かがペンケースをひっくり返す音。
教室というのは、何時でも音で溢れかえっている。
そう、それで普通なのだ。音のない教室ほと奇妙な物もないだろうし。
――ただ、俺が気になるのは「音がしないこと」だった。
授業中、ふと板書する手を止めて、ちらりと隣の席を伺う。どうして最初に、そうしようと思ったのかは分からないが、まあ、気紛れとかそんなんだろう。
それで隣を見てぎょっとした。俺の隣――AAという女子生徒。
あろうことか、彼女は居眠りをしていたのである。
……普通の居眠りじゃない。椅子にきちんと座っている。
恐るべきは、完全に目は閉じられているのにノートに筆記する手は止めていないことだった。
いや、おかしいだろ。何で寝てんのに板書できんだよ。しかもちゃんと書いてるし。
今はもう五時間目だ、確かに眠くなるのも無理はない、と思う。でも普通板書はしねえだろ。
彼女の前の席は、背の高い女子だった。それなら、比較的小柄なAは教師に見つかることもないだろう。
だからってどうしてそうなる、とは思った。そして相変わらずAのシャーペンは迷うことなく動いている。おい、待て。何で色変えた。
黒板を見ると、重要語句なのかそこだけ黄色のチョークで書かれていた。俺もペンケースから赤いボールペンを出す。
カチ、とノックの音。
隣の席から何の物音もしないことが、この教室で俺がAに意識を向けるきっかけだった。しかし、アレだな。そろそろ起こすか。
そう思い、トントン、と軽くAの机を指で叩く。流石に体に触るのは抵抗があった。
「……おい、A。居眠り中悪いけど、そろそろ起きろよ」
「…………」
「……。そのうち見つかるぜ」
応答なし。
どれだけ夢の世界に入り込んでんだ。いや、でもノートはとってるし。夢と現実の間をウロウロしている感じか?
そんなだから、教師に見つかるのも可哀想かと思った。立派に居眠りしてるんだから。
相変わらずAの目は閉じられていて、音はしない。シャーペンが紙に擦れる音も微量なもので。
なんかすげえな、と、自分でもよく分からないが感心してしまった。
20人がお気に入り
「ハイキュー」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
スマトラ島のラフレシア(プロフ) - 空白さん» 大地さんかっこいいよね〜→好き!! になる人が少ないんですかね……。三年生はあのノリですから!あ、潔子さんじゃないですか? (2016年6月13日 18時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
空白(プロフ) - まじ 大地さん ヤバイです 三年生組好きです 清子さんの一言で泣くとこ好きですwww (2016年6月11日 6時) (携帯から) (レス) id: 52be14b7bd (このIDを非表示/違反報告)
空白(プロフ) - そうなんですよ全然いないんですよ なんでいないのか不思議なんですよ あのお父さん感 大好きです こないだ好きすぎてイラスト描きました (2016年6月11日 6時) (携帯から) (レス) id: 52be14b7bd (このIDを非表示/違反報告)
スマトラ島のラフレシア(プロフ) - 空白さん» コメントありがとうございます!! 大地さんカッコいいですよね……!好きな人あんまり見ないので嬉しいです(笑) (2016年6月10日 18時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
空白(プロフ) - 初コメント失礼します
私も澤村さん大好きです!(≧ω≦)b
マジかっこいいです (2016年6月9日 17時) (携帯から) (レス) id: 52be14b7bd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:スマトラ島のラフレシア | 作成日時:2015年11月14日 19時