今はまだ言えない・2 ページ49
*
心配させたりしたらいけないって、……ちゃんと分かってたハズなのに。
しばらく無言を過ごした。店員さんが、私たちの前に注文の品を置いた後も。
アイスコーヒーの良い匂いが届いて、私は一口を口に含んだ。
「……じゃあ、女バレじゃなきゃできないこともAはできてるってことだね」
「そう、なる、かな」
「なら、良いんだけど」
さっきから私達は視線を合わせていない。昼休みの出会いがまるで嘘だったみたいに、お互い気まずい思いをしている。
前みたいに笑ってたい。そう徹は言ったから。
その原因を作った私も、今の気まずい空気も、全部取っ払えるならどれだけいいだろうか。
「……あー、もうなんか面倒臭くなった」
「ちょっと徹、」
「やめよ。やめ、やめ。俺こういうの好きじゃないんだ」
パンパン、と手を叩く。部活での慣れなのか、声も結構大きくて、他方向から視線を感じた。
声大きい、と小声で忠告するも徹には聞こえていないようだった。まったくもう。
「Aはさあ、結局どっちにつきたいの?」
「どっちって……」
「俺か、あっちか」
男子バレーボール部をひとまとめに『俺』と言ってしまう徹に呆れる。
完全に私達、周りの人から見たら別れ話か痴話喧嘩だよねえ……すいません。
私がそんなことを考えている間にも、徹はブツブツと喋り続けている。大体さあ、俺は本当にAにいて欲しかったんだよ。それは知ってるでしょ? だから急にあんなこと言い始めて、びっくりしたっていうかちょっと怒ってたんだからね! とかなんとか。
「――っていうわけだからさ、折角こういう機会ができたんだし、ちゃんと説明して欲しいんだよ」
「……う、ん。それは分かってる」
「でしょ?」
一体及川徹の中での私、AAはどういうポジションなんだろうと思った。何で私こんなに特別扱いされてるの?
でも、そう思ってしまうのも自分の中での照れ隠しで。本当の私は、多分凄く嬉しいと感じていると思う。
今なら、この人になら、私のことを話せる気がした。
「……バレーが好きなんだよ」
「知ってるよ」
「好きで好きで好きで、とにかくずっとやり続けてたけどね。――それだから、たった一度うまくいかなかった時、心が折れちゃったんだと思う」
コーヒーの表面が少し揺れているのを見て、先ほどの香りを思い出した。
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スマトラ島のラフレシア(プロフ) - 空白さん» 大地さんかっこいいよね〜→好き!! になる人が少ないんですかね……。三年生はあのノリですから!あ、潔子さんじゃないですか? (2016年6月13日 18時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
空白(プロフ) - まじ 大地さん ヤバイです 三年生組好きです 清子さんの一言で泣くとこ好きですwww (2016年6月11日 6時) (携帯から) (レス) id: 52be14b7bd (このIDを非表示/違反報告)
空白(プロフ) - そうなんですよ全然いないんですよ なんでいないのか不思議なんですよ あのお父さん感 大好きです こないだ好きすぎてイラスト描きました (2016年6月11日 6時) (携帯から) (レス) id: 52be14b7bd (このIDを非表示/違反報告)
スマトラ島のラフレシア(プロフ) - 空白さん» コメントありがとうございます!! 大地さんカッコいいですよね……!好きな人あんまり見ないので嬉しいです(笑) (2016年6月10日 18時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
空白(プロフ) - 初コメント失礼します
私も澤村さん大好きです!(≧ω≦)b
マジかっこいいです (2016年6月9日 17時) (携帯から) (レス) id: 52be14b7bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スマトラ島のラフレシア | 作成日時:2015年11月14日 19時