【ハイキュー!!】あの日のことが今もまだ【短編集】

【月島蛍】初恋にさらわれて・１ ページ3

*


「月島！」


1年4組の教室に向かって、彼の名を呼ぶ。その姿はすぐに見つかったけど、月島といえばヘッドホンをしていて、私の声など聞こえていないようだった。

それでも、私の声で一瞬こちらを見た一人の男子が、月島の肩を叩く。月島はヘッドホンを外してそちらを見、示されて私の方を見た。


目が合う。少しドキリとしてしまうのは、まるで病気のようで。


月島は面倒臭そうにしていたけど、もう一度私が名前を呼ぼうと、口を開こうとするとようやく立ち上がった。

その足で、私のいる教室の後ろの扉までやって来る。


「…………何」

「何、って……。人のこと待たせた癖に偉そうね」

「嫌味だけなら戻る」

「うわああダメダメ戻るなって！」


必死で月島を引き留めると、また気怠そうに「だから何。用ならさっさと言って」という言葉が返ってくる。

好かれてはいないだろうけど、でも一応マネージャーなんだし。私はめげない。


「今日の部活、少し早めに始めるからって澤村先輩が」

「……それだけ？」

「……それだけだけど？」


何か？ と首を傾げると、また面倒臭そうに月島は眉を顰めた。


「それだけなのに呼び出さないでよ、時間の無駄」

「酷っ！ 大事な連絡でしょ！」

「わざわざ僕を呼ぶくらいなら山口でいいデショ」

「……月島は山口のこと伝書鳩とでも思ってるわけ？」


山口なら喜んで伝書鳩になりそうだけど、とも思ったけど、率直に湧いて出た疑問を口にする。

と、鼻で笑われた。


「伝書鳩なのは君の方デショ。連絡言って回ってるなら」

「あのねえ……一応こういうのも仕事だから！」

「随分暇なんだね」

「…………」

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