ﾆｼﾞｭｳﾊﾁ To ページ29
"
そんなつもりではなかった。
俺の一言が、彼女をあんな表情にさせるだなんて思っていなかった。
俺はAのことが…。
好きなのに。
なんでこう、素直になれないんだろう。
俺が素直だったらもっと上手くいってたよね。
別れることもなかったかもしれない。
むしろ、俺に素直要素をいれると他に必要なものはないくらい…。
おっと、それは言い過ぎた。
頭は悪いし運動もめちゃくちゃ出来るわけじゃないし。
すぐ怒るし、反抗期かってくらい機嫌直さないし。
俺だって分かってるんだよ。
俺が一番、分かってる。
To「なんで素直になれないんだろ」
誰にも聞こえないような声でボソッと呟いた。
案の定周りは誰も気づいていないようだった。
六限が始まる前にAに謝りに行くことを決めた。
別れた直後は隣のクラスというのが嫌だったけど、こういう時は得だ。
俺は少し急ぎ足で教室を出る。
二組の教室のドアからAの姿を探すが、どれだけ見渡しても見当たらない。
するとそんな様子の俺を見つけたざわくんがこちらち向かってくる。
To「ざわくん…Aどこか分かんね？」
ざわくんが返事を全くしないから、何かがおかしいことを察する。
少し怒ってるようにも見える。
Mu「帰った」
To「えっ、帰ったってどういう…早退？」
Mu「Aの事傷つけんならさ、思わせぶりな態度とかやめたら？」
少し、いや、かなり腹が立った。
思わせぶりな態度をとったつもりはない。
確かに、Aや第三者からは思わせぶりに見えたかもしれない。
でも、そんなんじゃないんだ。
ただ。
ただ少し、普通の人より素直になれないだけで。
ざわくんの言う"思わせぶり"な態度が、俺の本当の態度なんだよ。
だから、"行くわけねぇじゃん"は照れ隠しだってこと。
分かれよ。
分かってくれよ。
To「じゃあ俺もう…関わんのやめるわ」
大声は出したくないから、落ち着いた声で言う。
怒っていることは伝わってしまっただろうけど。
元の関係に戻そうと思ってここに来たのに、これじゃ悪化しただけ。
なんなんだよ。
俺はもう、Aと関わっちゃいけねぇのかよ。
俺が言い出したことなのに、勝手にイライラした。
"
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 200人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夜行性 | 作成日時：2019年5月11日 7時
