ジュウイチ ページ12
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できた。
空いた時間にちょくちょく描いていたとしみつの似顔絵。
出来栄えに自信はないが、一応てつやに見せてみる。
Te「うめぇ」
「逆に絵以外に取り柄ないし…笑」
Te「…なぁ、Aってとしみつのこと好きなん?」
いきなりそんな質問をしてくるから、恥ずかしくなっててつやと目を合わせられなくなった。
スケッチブックを置いて、グラウンドを眺める。
こんなに高い位置からグラウンドを眺めるのは初めてだ。
Te「ねぇー、A?」
その話題は嫌だからてつやから離れたのにこいつときたら、着いてきやがる。
「好きか嫌いで言ったら、好きだよ」
Te「お、まじ?」
「でも、好きか嫌いで言ったらざわくんも、りょうくんも、柴田も、ゆめまるも、てつやも、好きだよ?」
Te「あぁ、確かに。俺もAのこと好きか嫌いで言えば大好き」
「それ好きか嫌いじゃない笑」
Te「確かに笑」
そうやって二人で笑いあって。
青春っぽいという言葉では表しきれない。
「てつやは?好きな人いないの?」
Te「ちょっといい人はおった」
「お、誰?文系クラスの人?」
Te「言うわけねーよばーか」
「うっせぇそっちの方が馬鹿なんじゃ」
Te「…でも、その人好きな人できかけてるってか」
まるで私ではないか。
そんな自惚れた言葉口には出来ず、ただ頷きながら相づちをうつだけだった。
Te「としみつのこと好きなら、…全力でサポートするよー」
「いや、……うん、よろしくね」
今の気持ちは微妙だ。
言葉にできない。
好きではないけど、やっぱり気になって仕方がない。みたいな。
彼のことを知りたい。
でも、
「…でも、決して好きなんかではないんだよ」
少し大きな声でグラウンドに叫ぶ。
てつやは一瞬驚いた顔でこちらに目を向けて、その後すぐに笑って「わかってる笑」と呟いた。
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作者名:夜行性 | 作成日時:2019年5月11日 7時