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悲しげに細められた瞳が、私の中にある罪悪感を掻き立てる。


確かに、Play中に怖い思いはした。

Kneel(おすわり)”と言って、私を見下ろす彼が別人のように見えた。
褒めるために伸ばされた手が、殴るためのものに見えた。
“終わり”と叫んでからの時間が、苦しくなるほどに長かった。


……だけど。







「俺との約束、守ってくれてありがとう。いい子だ」








彼のくれた温もりまでが嘘だとは、到底思えなかったんだ。








「ううん、松田君のせいじゃないよ。私が最初に伝えてなかったのが悪いから。ごめん」

「…………うるせぇ、謝んな。お前に謝られると余計罪悪感が募るんだよ」


「あっははっ、松田君にも罪悪感とかあるんだー、意外。普段はあんなに傍若無人なのにね」

「あーあーうるせぇうるせぇ!勝手に言ってやがれ!」







私の煽りに彼が取り乱した姿を見て、漸く先ほどまでの言葉が全部本当であったことを実感する。
完全にこちらに背を向けた松田君の部屋には、私の笑い声が小さく木霊していた。


























______それから暫くは不安なことも特になく、私は今までの調子を取り戻して過酷な訓練に励んでいた。



松田君ともあれ以来Playはしていない。
というかそもそもとして、その話題に触れることさえしていない。

恋人でもパートナーでもないのに、お互いに深入りしすぎるのは良くないと判断したからだ。



あの時は私が体調を崩していたから仕方なくで、どちらにも他意はなかった。
向こうもなんだか元気になったみたいだし、全てが丸く収まっているのだから、これ以上掘り返す必要もない。





ダイナミクスによるしがらみなんて、無い方が良いに決まっている。






松田君以外にも、私の嘘については黙ってくれている他の4人のお陰で、Subだとバレた後も私は今まで通りの日常を送ることが出来ていた。



……ただ一つ、降谷君の視線があれ以来厳しくなったことを除けば、だが。



厳しいと言っても、彼が私に直接何かを言ってくることはない。
まぁ、話しかけられる回数さえ激減したのだから、何かを言われる機会すらないのだけど。



恐らく誇り高き警察官を目指している彼にとって、私のような半端者は気に食わないのだ。
自己の利益の為に人を欺く、自分で言っていても彼が最も嫌いそうな人種だと思う。

だから私も、自分から彼に近づくことは無かった。







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ひなのすけ(プロフ) - やばいほんと好きです、、気長に更新待ってます! (4月21日 17時) (レス) id: 77329d1be9 (このIDを非表示/違反報告)
チョコレートモカ - 続き見たいです!頑張ってください!! (10月21日 11時) (レス) id: b98da95df9 (このIDを非表示/違反報告)
クローバー - 続き、気になってます!更新頑張ってください✨ (2023年2月23日 19時) (レス) @page17 id: 7d91e777e9 (このIDを非表示/違反報告)
まみこ(プロフ) - 続き待ってます!!応援してます!! (2022年10月6日 1時) (レス) @page17 id: 9d3f4398ec (このIDを非表示/違反報告)
Aly - 初めまして!本当に素敵な作品で、続きを楽しみにしています! (2022年7月6日 23時) (レス) @page17 id: 7c21e5a931 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:無糖 | 作成日時:2022年6月4日 8時

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