嫌い 2 ページ2
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"遅いようなら、
図書室でメンテナンスをして待っているよ"
ランチをしている時に、当番だから遅れると
類に伝えると、図書室で待っていると答えた。
だが、クラスの数名がオレを手伝ってくれて
予定より早く終わってしまった。
手伝ってくれた友人達の有り難さに感謝を伝え、
鞄を肩に掛けて、少し早足で図書室へと向かった。
今日はどれだけ皆を笑顔に出来るショーが出来るのか。
どれだけ観客を集められるだろうか。
不安よりも楽しさが勝り、早くショーをしたい気持ちに駆られる。
そんな気持ちを大事に胸の内に秘めておこうとした
が、
その気持ちや考えは、一瞬で消えてしまった。
『……っ司…』
「お前……A、か…?」
図書室に入って類を迎えに行くと、
"あの日"以来、一度も姿を見なかった
幼馴染"だった"彼女が、類の隣に座っていた。
『……っ!』
「ｯ､待てA!!」
Aはテーブルに広げていたノートや参考書、
小物等を全て鞄へと放り込むと、勢いよく立ち上がり
オレの横へとすり抜けて逃げ出していった。
慌てて彼女の手を掴もうとするが、するりと抜けられ
引き止める事も出来ず、ただ図書室から出ていく
彼女を見ることしか出来なかった。
「…Aくんとは、知り合いなのかい?」
「知り合い…というよりは、幼馴染、だった」
「だった?」
「…オレが、関係を壊したんだ。」
小型のロボットを手にしながら、
隣に立った類にそう答えた。
類は敢えて何も言わず、ただオレを見詰めた。
「オレは、あの時、咲希を助けるのに必死で、
Aの気持ちを、考えていなくて、…」
言葉を紡ぐに連れ、
あの日の出来事がフラッシュバックする。
不安に駆られ、途切れ途切れに言葉を何とか紡ごうとするが、
途中で言葉が詰まってしまう。
その時、ぽんと肩に類の手が乗って、
はっと我に返る。
「無理に言わなくて構わないよ。
君と彼女の関係が、何となくわかったからね」
「っ…そうか。」
「…けど、」
類は間を開けて、そう口に出すと
オレをじっと見詰めた後、
まるでAを見るかのように、
出ていった扉を見詰めた。
「彼女は司くんを警戒してはいるけれど、関係を戻す事は不可能、なんて事はないだろうね。」
"司くんは、このままの関係で居られる男じゃないだろう?
君の、その気持ちがあればね。"
その言葉を聞いて、俺は目を見開いた。
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作者名：葉口 | 作成日時：2022年10月2日 21時
