オレの私の本命弁当！

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『清澄、ありがとな』

そう言って私を抱きしめる悠斗君。

あぁ。これは夢だ。

だって私はあの日。

悠斗君に振られたもん。


これは私が望んでいた、夢見ていたハッピーエンド。

だから叶うはずも無いのだ。

ここで一生悠斗君と幸せに…。
こんなに素晴らしい夢、覚めなくたっていい。




ピピピッ、ピピピッ。

目覚まし時計の音だ。


童話のお姫様はほとんどハッピーエンドで王子様と幸せに暮らすんだよね。

でも私はそうは行かないんだよね。

王子様が好いてくれていないから。

赤い糸は繋がっていないから。

童話のお姫様みたいに器用なんかじゃないから…


「心奈！お友達がむかえにきてくれてるわよ！」

はい。お母さんの一言で現実に突き返されました。魔法を強制的に解かされました。

時計を見ると
は、8時ぃ？

「目覚まし時計のあんぽんたん！何で起こしてくれなかったの！」

目覚まし時計に罪はない。

急いで制服に着替える。

あーもう！制服着るの面倒くさい！

「心奈ぁ！朝ご飯くらい食べなさい！」

お母さんの声を無視して玄関を出る。

「おっせぇな」

「おはよ！いそご！」

「エプロン…持ってる…？」

玄関の先には友達が3人。

「ごめんごめん！」

私の友達…いや、親友達を紹介するね。


まず私が限界から出てきて即乱暴な言葉を吐いてきた葉月真弓(はづきまゆみ)
姉御っ！！って感じの美人さんで、高い位置で髪を結んでいる。
絶対弓道部だろって名前だけど、実際は…。


続いて明るい女の子！旭日千夏(あさひちなつ)
いつも活発で誰に対しても優しい。
ちなみに千夏も私達と同じ部活。

最後に私にエプロンの心配をしていた平利玲奈(ひらりれな)。とっても良い子なんだけど、いわゆる「病み可愛い」見た目で周りから少し怖がられている。
一部の女子の間ではメンヘラそうな見た目から
平利→ひらり→ひらりん→へらりん
と呼ばれている。

「本当にごめん！」

私は謝りながら校舎に向かう。

「なれたけど…ってもうホームルーム始まる！」

「「「やばぁっ」」」

真弓の声と共に私たちは駆け出した。

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