オレの私の本命弁当！

プロローグ ページ1

『私…！悠斗君のこと好きです…！』

勇気を出した。

今まで生きてきた中で1番。

この日のために頑張った。

不器用な私が…

『…』

『…っその…。急に呼び出してすみません…。それじゃあ』

その場を去ろうとした私だった。

チョコを渡すことができれば。

気持ちを伝えることができれば。

それで十分だったから。

『…は？』

チョコを見て呆然とする悠斗君

『キモ…。こんなのいらねぇ…。』


地面に叩きつけられた本命チョコ。


私はその場に崩れ落ちる。
地面についた膝から血が滲む。

透明な袋から覗く２つに割れた、ハート型のクッキー。




喉と目が熱くなって頰に涙が伝う。







擦りむいた膝なんて全く痛く無かった。

何より…

『泣くなよ？オレが悪りぃ見てぇじゃんか。ダッせ』


何でこんな人を好きになったのだろうか。










ああ。そうだ。








この時の私は手のひらで転がされていたいただけだったのを気付けなかったからだ。




傘を貸したのも宿題を写させてあげたのも、勉強を教えてあげたのも妥協したのも…



頼られていると勘違いしたから。




そうだった…。



それでも嫌いにならなかったんだよな…





今も。











「おーい！花嫁修行のスペシャリスト呼んだよ」

「スペシャリストじゃないから！」

「美味しいお弁当つくろう！」

「本命なんでしょ？」


「今行く〜！」

私を振ったこと、後悔するくらい成長してやる！

2→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す