社長がお呼びです。２

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その夜は積もる話もたくさんで、
夜更けまでおしゃべりしてしまった。


翌朝はすっかり寝不足。


まだ寝てる晴子に、
階下の暗証番号付きのポストに、
鍵を入れてもらうよう頼み込んで、
慌てて出勤。


麻美さんはやっぱりまだ、
当たり前のように会社で小間使いをしてたけど・・・


朝から、
事務の面接の人が３人もやって来た。


麻美さんが戻って来る前に、
安田社長がハローワークに頼んでたみたい。



面接は安田社長と竹本部長、
営業の工藤さんの３人でミーティングルームでしてて、
中の様子は見えない。


お茶を持って行って、
出て来た麻美さんは、
落ち込んだ顔してて、
私まで胸が痛くなった。


麻美さん、行くあてないのかもしれない。


午後になって仕事がひと段落したら、
いつの間にか、麻美さん、いなくなってた。


もし私なら・・・

家族の借金のせいで身を引いて、
なんとか一人で頑張って問題解決して戻って来たのに、
もう他の女がいて、
職場にも居場所なかったら・・・


考えただけで、不安に泣けてくる。




夕方頃、

社長室にハンコをもらいに行ったら、
安田社長は、デスクでぼんやりしてた。


麻美さんのこと、考えてたのかな、って・・・


「ハンコ？」


稟議書の内容を見て、
ハンコを押してくれて・・・


安田社長が、私の手を引く。


びっくりしてるうちに、

ちゅ、って、短いキスされた。


「社長、何するんですか？
勤務時間だし、
外から見え・・・」


「しいっ。
ブラインド閉まってる。
それに就業時間は過ぎたで？」


壁の時計は確かにもう１８時過ぎ。


さっきもう、みんな、ばたばた帰り支度してた。


「でも・・・」


「でも？」


聞き返した社長が、
私を抱き上げて、
自分の膝の上に乗せたから、
びっくりして、


「ひゃっ」


変な声、出ちゃって、
慌てて、口元を手で押さえる。

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