社長がお呼びです。２

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いつもと同じ優しい声でほっとして、
余計に涙が溢れてくる。


でも社長、
子供みたいに泣く私の涙が止まるまで、
ずっと優しく抱いててくれて・・・


麻美さんとはあの後、すぐに別れて、
夕方からはお客様とご飯だったって、
ちゃんと話してくれた。


涙がようやく止まった頃に。


「Aちゃん、
これからは、
ちゃんと思てること言うてな？」


少し離されて、
顔を覗き込まれて。

泣いててブスだから、
後ろ向いたら、


「さっき、あのナンパ男にお尻触られてたやろ。
もうほんま・・・
めっちゃ嫌やったわ。
絶対に一人でふらふらしたらあかんで」


そう言われて。


もしや今、お尻、見られてる？って。

慌てて、また社長の方を向く。


あの場面、見られてたんだ・・・


気持ち悪くて、
恐怖で身体が固まって、動けなかった。


「俺もまだ触ってないのに。
ナンパ男にあんなんされて。
あかん。
思い出しただけでムカつく」


安田社長の怒りを再燃させちゃったみたい。


「もう居酒屋さんには行きません。
なんで男の人ってすぐ、
お尻触りたがるんだろう。
すっごく気持ち悪い。
怖かった・・・」


思い出したら、
また気持ち悪くなってきた。


「他にも触られた事あるん？」


社長はそっちが気になるみたい。


「前の会社でコピー取ってる時、
セクハラされました・・・。
最低です」


だから、余計に、
お尻がおっきいの、嫌なんだ。


「それで前の会社辞めたん？」


聞き返されて、
理由は前田くんの事もあるけど、
まあ、部長のセクハラも一因ではあったから、


「はい」


そう答えておいた。


「ほんま許されへんな。
うちには、
そんなスタッフおらんから大丈夫やけど。
あかん。
やっぱ、ムカつく。
嫌な思い、いっぱいしてんな。
怖かったな？」


それから、また、
ぎゅうって抱きしめてくれて・・・


「もう二度と俺以外のヤツに、
触らせへん」


耳元にそう聞こえて、
慌てて、かばって離れる。


「社長も触ったらダメです」


恥ずかしい・・・


「なんで？」


「なんで、って・・・
当たり前です」


思わず絶句。


「彼氏やのに？
可愛いのに。
触りたい。
ムカつくけど、
他のヤツが、
つい触りたくなる気持ちは分かる」

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