社長がお呼びです。

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そう行って、
部屋の片隅の小さいキッチンに立つ。


冷蔵庫から、
アイスティーを出してたら、
安田社長もそばにやって来た。


「どうしたんですか？
あっちで待ってて下さい？」


不思議に思って、聞いた私に。


「いや・・・あの。
なんか、勘違いされてんのかなあって。
寝顔見たらほんまにちゃんと帰るから。
そんな警戒せんとって？」


社長が困ったように言う。


「え・・・」


「下心なんかないし。
いや、ないいうんは嘘やけど。
今日はさすがに我慢出来るし」


その言葉聞いて、かあって頬が熱くなった。



「違います・・・
あの、すっぴん、見られたくないから。
だから・・・」


恥ずかしくて、うつむいて、早口になってしまう。


「・・・へ？」


安田社長の気の抜けた声がして、
顔を上げたら、


「そんなん気にしてんねや。
可愛いなあ。
すっぴん見たい。
はよ見してや」


そんな風に急かしてくるの。


「嫌です。
ブスだって笑うかも」


まつげと眉毛で、だいぶ誤魔化してるから、
顔が薄くなるもん。


他にも、
お尻が大きいとか、
太もも太いとか、
そのくせ、胸の方はそんなにだったりして、

色々コンプレックスだらけ。


なんだか、キスより先なんて、
到底進めない気がしてきた。


だって、相手は安田社長だし・・・


嫌われたくない。


「ブスでもAちゃんなら好きやで」


「もう！知らない！」


「嘘嘘。
可愛ええに決まってる」


安田社長はメイクでどれだけ盛れるか、
知らないの？！


麻美さんはきっと、すっぴんも完璧なんだわ。


はあ。どんより。


「やっぱり、見せられません」


グラスにアイスティーを注いで、
レモンを切ってたら、


後ろからぎゅってされた。

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