社長がお呼びです。

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言い出せないまんま、

階段を上がって、
部屋の前に着いた時、

また余震が起こって、
身体をすくめた私を、

社長がふわって抱きしめてくれた。


すぐにおさまったけど、
やっぱり、一人きりは怖い。


今までこんな小さな地震くらい、
平気だったのに、

怖がりになってしまったみたい。


「・・・一人で大丈夫？
寝るまで一緒におったろか？」


私の不安を見透かしたように、
社長がそう言ってくれた。


部屋を見られるのは、ちょっと恥ずかしいな。


部屋に上げるってことは、
もっと進んでもオッケーっていう意思表示になるんだっけ？

さっきの社長の言い方だと、
そんな気はさらさらなさそう。

それはそれで寂しかったりして。


いやいやいや。

まだまだぜーったいにダメダメ。


「えっと・・・」


返事に窮してたら、
社長が、


「嘘。
俺がまだ離れたないだけや」


そう付け足した。


その言葉だけで、
胸が沸騰しちゃって。


「・・・私もです。
まだそばにいて欲しいです」


勝手に、口が。

気付いたら、そんなセリフを。


安田社長、真っ赤になって、
それから、


「ええん？そんなん言うて」


悪戯っぽく聞く。


私、とんでもない大胆発言、
しちゃったのかもしれない。


なんの覚悟もないくせに、
ついうっかりと。


でも、そばにいたいのは、ほんと。


今、離れちゃったら、
今日のことは全部、夢でした、ってなりそうで、

怖くてたまらなかったんだ。

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