社長がお呼びです。

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「ごめんなさい・・・」


拗ねて、甘えてるだけ。


知らなかった自分の一面に、
自分が一番、戸惑ってる。


安田社長は、怒ってるわけじゃないみたい。


「わがままするんも可愛いわ」


頭、ぽんぽんして、
おでこにまた、キスしてくれた。


「Aちゃんが大好きやから。
ずっと素直でおってな」


欲しかった言葉もくれた。


「はい」


思わず笑みがこぼれてたみたい。


「さては、好き言うて、
ちゅうして欲しかっただけやな」


社長がからかってくる。


「そ、そ、そんな・・・」


どもりまくりで、結局、否定すればするほど、ドツボ。


「言えばええのに。
おねだりされたら、
男は嬉しいねんで？」


「ほんとですか？」


「うん、ほんま。
言うてみて？」


ほんとに？

だいぶ、恥ずかしいぞ。


でも・・・


何回でも言って欲しいの。


麻美さんの影が消えるまで・・・


「社長、私のこと、好きですか？」


勇気出して、聞いたのに・・・


「嬉して、羽根生えて飛んできそう」


にこにこして、そう言うだけ。


「ずるい！もう社長なんか知りません」


ぷいってして後ろ向いたら、
背中から抱きしめられて・・・


「・・・好きや。
不安になんかならんでええで」


甘くて低いささやきの後、


「Aはしっかりしてそうで、
案外、甘えたさんやな。
可愛いわ」


そう言われた。


私もこんな自分に驚いてるんだから、
仕方ないよ。


それよりさっき、名前呼び捨てにしてくれた。


聞き間違いじゃないよね？


嬉しくて、
やっぱり、にまにましちゃいそ。









帰り道は、
ずっと会話が弾んで、楽しかった。

はしゃいでる私を、
安田社長はずっと、
目を細めて、見つめてくれて・・・

恋の始まり、って、
こんなにときめいたっけ？


自分史上、過去最高の盛り上がり。


でも、どうしても、

みんなの公認の彼女にして下さい、って、

その一言だけが、声にならない。

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