社長がお呼びです。

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それから３週間。

ひたすら、
イベントの準備に忙しい日々。


麻美さんは相変わらず、
屈託ない笑顔で、
みんなの小間使いをして走り回ってる。


そのおかげで、

私の仕事はかなり減って、
だいぶ楽になったけど、

安田社長に呼び出されることも、
比例して少なくなって、
寂しい。


社長はやっぱり、
会社で寝泊まりしてるみたいだけど・・・


今となっては、
二人きりになるの、
避けられてる気がする。


ごちゃごちゃ面倒くさいのは無理なんて、

あんなひどいこと、
社長に言ったんだもん。

当たり前だよね・・・




今日のイベント初日は、
まずまずの手応え。

お客様の反応も良かった気がする。


後片付けをしてたら、

麻美さんが、

私の隣に立ってた。


「Aちゃん、ちょっといい？」


腕を掴まれて、
そう聞かれて、
思わず逃げ出したくなる。


「何ですか？」


「ちょっと話したいねん。
二人だけで。
いい？」


あの夜、酔いつぶれて、
渋谷さんと話してた時の、
弱気な消えてしまいそうなほど儚げだった麻美さんと、

今ここにいる、
天真爛漫で強引な麻美さんは別人みたい。


話すことなんてない。

嫌だ。


「あの、今から明日の最終チェックがあって・・・」


とっさに嘘を言いかけた時に、
安田社長が駆けて来て、
割り込んだ。


「麻美、ちょっとええ？
今から、付いて来て欲しいとこあるねん」


付いて来て欲しい、か。


前は、よく、私に言ってくれた。


この会場の下見に来た時も・・・


デートみたいで、楽しかったな。


思い出して、
鼻の奥がつんてきて。


慌てて、涙を止める。


「じゃあ、Aちゃん、明日ね。
イベント終わる頃に、待ってるわ。
章大、どこ連れてってくれるん？」


麻美さんが甘えた声で言って、
安田社長の腕を組んだ。

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