社長がお呼びです。

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家に着いたら、
丸山先輩から連絡入れる。

電話じゃなくて、ラインにした。


『会って話したいです。
大阪まで行きます。
いつが都合良いですか？』


丸山先輩には、
ちゃんと会って、
断った方がいいと思って・・・


『俺はいつでもええで？
なんなら、明日でも。
Aちゃんに会えるなら』


すぐそんな返信が来て、
胸が痛む。


だけど、こんな気持ちのまんま、
丸山先輩といられない・・・





翌日、
仕事終わってすぐに、
大阪に向かった。


前に勤めてた大手の会社の、すぐ近くのカフェ。


半年前まではこの辺りに住んでたのに、
最近、ほとんどの用事を神戸で済ます癖がついてて、
すでに懐かしい気がしてる。


丸山先輩はもう、席についてて。

カフェに入ってきた私を見るなり、
何もかも分かってるみたいに、
寂しく笑った。


そんな笑顔されちゃうと、
言い出しづらい。


「Aちゃん、
わざわざ来てくれて悪いねんけど・・・
あんまり時間ないねん」


わざとそんな風に言う。

丸山先輩、優しいから・・・


「あの、この前のお返事ですけど・・・」


言いかけたら、


「分かってる。
どうしても章ちゃんがええねやろ？」


苦笑いで、遮られた。


「すいません・・・」


「Aちゃん、不器用やねんなあ。
章ちゃんは、
麻美ちゃんのこと、
見捨てたり出来ひんと思うのに・・・。
それでもええん？
辛くない？」


「私、往生際が悪いみたい、です」


「僕もほんまはな、
往生際、あんまり良くないねんで？
今もまだ・・・」


丸山先輩、そこまで言って、
やめちゃって・・・


「仕事残してるから、
俺はそろそろ行くわ」


言い直して、伝票を掴んで立ち上がる。


「あの、お金・・・」


「これぐらい奢らせて。
また神戸に行くから。
みんなですばる君の店で飲もな」


最後に明るく笑って、
気まずくならないようにしてくれた。


あんな爽やかで、
優しくて、
誠実な人、

断ったりして・・・


この先、二度とない出会いかも知んないのに、
私は不器用通り越して、

ただの間抜けかも。



しばらくぼんやりしてたら、
晴子が入って来た。


「A、丸山先輩、振っちゃったん？」


いきなりそう聞かれて、びっくりしたけど、
晴子の方が驚いた顔してる。

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