社長がお呼びです。

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てことは、

名義がどうとか知らないけど、

麻美さんの物でもあるのかもしれない。


夫婦って、

ものすごい絆のあるものなんだ。


やっぱり入り込む余地なんてないや。



二階の資料室に上がって、
脚立を出してくる。


麻美さんの字で、
綺麗に年度別に分類されてて、
すぐに見つかった。


今日はここまでで良いかな。

なんかもう、疲れちゃった。



資料をぱらぱらめくってたら、
急にドアが開いたからびっくりした。


安田社長がちょっと困った顔して、
ドアにもたれて立ってる。


「Aちゃん、話だけでもしたいねんけど・・・
ええ？」


うなづいたら、
私のそばまで来てくれた。


「・・・マルと付き合うん？」


いきなり直球で聞かれて、
条件反射で、首を横に振っちゃった。


「分かりません。
丸山先輩のこと、
そういう風に考えたことなくて・・・
でも、好きになれたらって、
思ってます」


これは本音なのか、分からない。

本能的に、


安田社長みたいな人にはまっちゃったら、
一生抜け出せないような、
そんな予感がして・・・


逃げ道、作ったのかもしれない。


「好き、って、努力してなるもんちゃうやん」


私の目の前まで来て、

私だって、とっくに知ってること、言うの。


何か言い返したいのに、
声にならない。


「・・・この２日間、
嫉妬でどうにかなりそうやった」


そう苦しそうに続けた社長が、
私の髪に触れた。


丸山先輩にされた時とは違って、

全身に電気が走ったぐらいの衝撃。


簡単に、
ときめきで自分の全部が埋め尽くされてく。

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