店長がお呼びです。４ (ページ10)

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「今も好きだよ？
中３の時、一目惚れしてから、
もう１０年も好き。
でも・・・
裕くんは私のこと、
いつまでも子供だと思ってる。
転勤の事だって、
２ケ月も秘密にして。
外国に住むの怖いなら、
ついてこなくてもいいって。
しばらく実家に帰ってたらいいって。
軽く言うんだもん。
私、裕くんの何なんだろうって・・・。
毎日忙しそうで、
話してる暇もなくて。
私の気持ちが浮ついてるのにも、
きっと気付いてない。
私になんか興味ないんだよ」

ぐらぐら揺れてるお姉ちゃんの気持ちが、
痛いほど、伝わってきて、

私が悲しくなった。

「お姉ちゃん、
ヤスくんの事、・・・」

好きなの？

簡単には聞けなかった。

誰かを好きになったり、
誰かに恋されるのは、

幸せなだけじゃないんだ。

ずっと同じ人を同じように見つめてる事、
それって、すごく難しい事なのかな・・・

「ヤスくんとはもう会わないから大丈夫だよ」

そう言ったきり、
それからは、
お姉ちゃんも黙ったままで。

私も何を言っていいか分かんなくて。

お姉ちゃんと裕義兄さんが、
暮らしてる社宅が見えてきた。

「ごめんね。
こんな話聞かせちゃって・・・
今日も裕くん遅いから。
泊まってく？」

そう聞かれて、
お姉ちゃんを一人にしたらいけない気がして、うなづいた。

大倉店長に電話したら、
今夜はヤスくんと一緒にいるって。

それ聞いて、少しほっとした。

裕義兄さんと幸せでいて欲しいって、
思っちゃう。

ヤスくんはすごく良い人で、
大倉店長の親友で。

私の悩みもいつも真剣に聞いてくれて、
気持ちも軽くしてくれる。

だけど・・・

裕義兄さんは、
すごくすごく照れ屋で、

言葉とか、不器用なところがあって、
だから二人は今、少しすれ違ってるだけなんだって信じたい気持ちがある。

アクアマリンの指輪が差してる、お姉ちゃんの運命の人だもん。

他の人に代わるわけない。

私は大倉店長だけを見てたい。

大倉店長にも同じ気持ちでいて欲しい。

今のままでいたい。