店長がお呼びです。４ (ページ46)

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なんて声かけていいか分からない。

そんなにまだ大人になれてなくて。

ヤスくん、

「ごめんな？
Aちゃんにもいろいろ迷惑かけて。
有香ちゃんのそばにおってやって？」

それだけ言って、
エレベーターあるのに、
階段を降りて行った。

入れ違いにエレベーターから降りてきたのは、
裕義兄さんで・・・

焦って、息切らして、
私を見つけて、

「Aちゃんっ、有香は？
どこの部屋っ？」

すごい勢いで聞いてくる。

「その７０３号室・・・」

答え終わる前に、
ドア、乱暴に開けて、
病室の中に転がり込むように、
入って行った。

開けっ放しのドアの向こう。

「有香っ。
怪我してるやん。
大丈夫か？」

裕義兄さんが、
お姉ちゃんを抱きしめてる。

「裕くん、ごめんね。
迷惑かけて・・・」

「何言うてんねん。
迷惑ぐらい、かけてもええやろ。
俺ら夫婦やねんから」

お姉ちゃんを抱きしめた、
裕義兄さんの背中が、震えてて・・・

泣いてるのかなって、分かった。

お姉ちゃんに悟られないように、
顔見せないように、
きつく抱きしめてる。

裕義兄さんは、照れ屋だから・・・

「やから。
俺も迷惑かけてええ？
俺、有香がおらんと無理やねん。
ついて来て欲しい」

良かった。

これでもう大丈夫だ。

なのに・・・

「でも・・・私、最低なのに。
他の人に気持ちが揺れて、・・・
裕くんのそばにいる資格ないよ。
ついて行きたいけど・・・」

お姉ちゃん、ぼろぼろ泣きながら言うの。

二人ともと離れようって、決めてたんだ。

だからあんなに憔悴して・・・

一人ぼっちで苦しんでた。

そばにいたのに、私、何にも出来なくて。

いつもお姉ちゃんの事、頼ってばっかりで。

私は少しも気持ち、
楽にしてやる事、出来なかった。

反省してたら。

裕義兄さんが・・・

「俺が悪いねん。
寂しい思わせて、
有香の心に隙間作ってもうて。
俺が作った隙間やねんから。
俺が埋める。
ええやろ？
俺は、有香しか、
もう、見たくない・・・。
愛してんねん、有香だけ」

掠れた声で伝えた後、

涙でいっぱいの目で、
お姉ちゃんを、じっと見つめた。