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「俺な、あんなん言うてもうたけどさ。
ほんまは責任なんか取れるほど、
でかい男でもないしな。
ややこしい恋愛とか、
面倒やなあて、思い始めてたとこで。
ほんまごめんやけどさあ。
旦那さんと一緒にアメリカ行き？
有香ちゃんなら、大丈夫や。
最初は寂しいかもしれへんけど。
世界は一個で空見たら繋がってるやん？
離れてても、俺も友達として応援してるし。
Aちゃんも家族も友達もみんなそうやし。
それに・・・
大好きな人といつも一緒におれば、
大抵のことは乗り越えられるで？
乗り越えられるようになってんねんて。
有香ちゃんのこと、
そのアクアマリンの指輪が守ってくれてるやんか。
やから今日かって、こうやって、
無事やねんし・・・。
ごめん。
支離滅裂やな」
ヤスくんの声は震えてて。
涙をこらえてるのが分かった。
「私も・・・
一番愛してる人について行こうって。
最後に会いたくて。
ヤスくんに、ありがとうって、
そう言おうと思って、
あの踏切の近くの公園に行こうと思ってたの」
「そっか。
俺、あほやな。
黙っといても、
振られたのに。
余計なこと、言うてもうて。
有香ちゃん・・・」
ヤスくんが、お姉ちゃんを、まっすぐに見つめてる。
そこでやっと、私、邪魔だって、
ハッとして。
慌てて、そろそろっと病室から出た。
「ごめんな・・・
俺と出会ったりせえへんかったら、
良かったな。
幸せでおって・・・」
ヤスくんの苦しげな声が聞こえてきて。
そのあとに。
「ううん。
ヤスくんに会えて幸せだったよ？
出会わなきゃ良かったなんて、
一回も思ってない。
私なんかを見つけてくれて、
ありがとう・・・
ヤスくんも幸せでいてね」
お姉ちゃんの静かな声が聞こえた。
お姉ちゃんは、すばる義兄さんを選んだ。
「じゃあ、俺、行くな。
頑張り過ぎたらあかんで？
限界なる前に、
ちゃんと一番大切な人に相談するねんで？」
ヤスくんが、病室から出てきて。
私を見て、笑った。
その瞬間、綺麗な目から涙が溢れて。
私も切なくて、たまらなくなって。
「ヤスくん・・・」
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作者名：fool x他1人 | 作成日時：2017年11月8日 16時
