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「めっちゃ似合うわあ。
可愛いなって、
帰ったらびっくりされるんちゃう?
こうして良かったやろぉ?」

ふふって、鏡を覗き込みながら、
本当に楽しそうに言うの。


こんなの、
女の人はみんな好きになっちゃうよ。


罪だな。

お姉ちゃんがぐらぐらしちゃうのも、
ヤスくんのせいだ。





順番に取る休憩時間に、
奥の休憩室の畳の上で、
一人でぼんやり考え事してたら。

大倉店長が入って来て。

誰もいないし。

嬉しい。


私の隣に座ったくせに。

私のこと、一回、見たくせに。

目が合ったのに。


急にちょっとそっぽ向いて。

一人で置いてあったチョコ食べながら、
雑誌読み出した。


「あまっ」


チョコに文句つけて、
苦そうなコーヒー飲んでる。


どうしたんだろ。


いつもなら、隙を見つけて、
キスしてきたりして、
私が慌ててるの見て、楽しんでるくせに。


私、何か怒らせるような事、したのかな。


今日は失敗はしてないはず。

そう信じたい。


「大倉店長、どうしたんですか?」


お店だし、
ご機嫌斜めっぽいし、

一応、敬語で聞いてみる。


「別に。
休憩中なだけ」

ちょっと可愛い。

ほんとにオオクマたあ君みたいだ。


「別にって。
拗ねてるの?」


聞いたら、
ちらってこっち見た。


「分かってんねやったら、
機嫌取ってや」


急に甘えた声で言ってくる。


「でも理由が分かんないもん」


子供みたいだ。


「ほんまに?
アホなん?」


「ひどい。
言わなきゃ分かるわけないでしょ」


むう。

今度は私が膨れる。


そしたら、ほっぺた、
手のひらで包んで、潰してきた。

ブスになる。


そのまま至近距離で見つめられて。


「ヤスにキュンてしたやろ?
したんちゃって、ずっとしてたやろ?」


いじけた顔して言うから、
つい、吹き出しちゃった。


ほっぺからは手は離してくれたけど。


じとっとした目で睨んでくる。


「笑い事ちゃう」

大人のくせに、本気で拗ねてる。


可愛いんだもん。

笑えてきちゃうよ。


「どうしたらご機嫌直してくれるの?」


「それは、自分で考えてえや」


丸投げですか?


「ごめんね?」

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作者名:fool x他1人 | 作成日時:2017年11月8日 16時

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