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さっきのはほんの、
さわりっていうか。
もう一回・・・
俺からキスしようとしたら、
ぐいって胸を押されて。
壁の時計をちらっとAが見た。
まだ１１時半前。
眠い？
当然、お泊まりのつもりやったのに。
「もう帰んなきゃ。
明日は、忠義のお家に行くから」
Aが、言い出した。
「えっ？そうなん？
こっから二人で行けばええやん」
「ダメだよ。
ちゃんとした子だって思われたいもん。
お姉ちゃんもお母さんもそうした方がいいって」
Aがそう固く決めてるなら仕方ないかなって。
「なんか、お嫁さんになる挨拶しに行くみたいやな？」
つい、口走ってもうてるやん。
「・・・違うよ？
そうじゃないけど・・・」
Aが慌ててる。
「俺はそれでもええねんけどな？」
お嫁さんにしたいなあって思える子に出会えたんは、初めて。
「・・・本気なの？」
ちょっと疑いのまなざしで見てくる。
「冗談でこんなこと言えるほど、
悪い男に見える？」
聞き返したら、
複雑な顔した。
「お前な。
黙ったら、肯定してんのとおんなじやろ」
デコピンしたったら、
「痛い！もおっ」
俺のこと、
ぽかぽか叩いて反撃してくる。
そのちっこい手をつかまえて。
「・・・俺は本気やで？」
じっと見つめて言うたら。
「明日はまだ言わないで。
でも、嬉しい。
まだ実感ないけど・・・
もう少しちゃんといろいろ、
出来るようになったら。
忠義のお嫁さんにして欲しいです」
初めて、はっきりと言うてくれた。
「うん。
なるべく早くその日が来ると嬉しいな・・・」
プロポーズって、
夜景の見えるレストランで、
記念日に食事しながら、
指輪を差し出すんが、
ドラマとかでよく見るテッパンやん？
俺もいつかはそういうん、
する日が来るんかなって。
昔は漠然と思ってたけど。
現実はこうやって、
何気ない会話の中で、
将来のこと話してるうちに、
なんとなくしてまうもんなんやなあって。
けどこれやとさ、
プロポーズはどんなでした？って聞かれても、
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作者名：fool x他1人 | 作成日時：2017年11月8日 16時
