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「夏子ちゃんさ、
彼氏おるのに、
他の人にときめいた事ある？」
つい聞いてもうてた。
「えっ？！
Aちゃんに浮気疑惑ですか？
それはないない。
大倉店長にベタベタ惚れですもん」
きゃらきゃら笑って、
バシバシ叩いてくるから、
ボールペンが滑ってもうたやん。
「やなくて。
夏子ちゃんの話やんか」
「私？
私はそりゃあ、
惚れっぽいし？
いい男はいっぱいいるし。
いつでもトキメキは忘れないようにしてます」
そんな決め顔して、言われても・・・
聞いた俺がバカやったわ。
けど、さっきの夏子ちゃんのセリフ。
Aは俺にベタ惚れ？
そうかな？
そうやんな？
俺も実はそうちゃうかなって思ってた。
ほっぺたが緩んでくるわ。
閉店後、なるべく急いで帰りたいねんけど。
階段降りてったら、
駐車場で、
車に乗り込む前に。
店のスタッフの女の子たちと、
階下のエステ店の子たちにまで囲まれてしまった。
中にはお客様の姿も見える。
「大倉店長、お誕生日おめでとうございます！
受け取って下さい！」
手作り品のプレゼント攻撃。
あの雑誌のせいや。
俺はAにもらうならって意味で答えただけやのに。
いや、あの時はAともまだ付き合うてなくて。
Aがもし彼女なら？の、前提で、
妄想で答えただけ。
みんな、雑誌の細かいところまできちんと読んでるねんな。
Aなんか、
雑誌に載ってる俺は偽もんやし、
気取ってるから嫌い言うて、
どっちか言うたら、毛嫌いしてるけどな。
「ありがとおな？
気持ちだけで」
断ってんねんけど、
みんなの勢いがすさまじくて、
集団で追い詰められてる。
「受け取るだけでいいんで」
とりあえず受け取ったほうがええ？
どっち？
「もうすぐ本社行くし、
お餞別って事なら。
ありがたく受け取らせてもらうけど・・・」
これ、お返しが大変ちゃう？
けど、時間かけて準備してくれたのに、
受け取らへんていうんも。
はあ。
頭痛い。
なんであんな取材受けてもうてん。
「ありがとう・・・」
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作者名：fool x他1人 | 作成日時：2017年11月8日 16時
