社長がお呼びです。７ (ページ9)

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「章ちゃんも、やきもち苦しい？」

「分かってるくせに聞くんは、
悪い子やな」

章ちゃんが私のほっぺを手のひらで、
むぎゅうってしてきた。

「やめてやめて」

きゃあきゃあ言ってたら、

「Aちゃん、しぃっやで？
この部屋、ナースステーションに近いから」

「うん。
分かった」

中島さんに聞かれてしまったら、
また怒られるよ。

「いい子」

章ちゃんから、
昨日出来なかった、
おやすみのキスしてくれた。

章ちゃんが寝たら、
すぐに、ベッドから降りようと思ってたのに、
私まで眠ってたみたいで・・・

廊下の騒がしさと、
ドアをノックする音で、
はっとして跳ね起きた時には、
既に遅しで。

「何してるんですか。
患者さんの負担になるような事は控えて下さい」

引き戸の前に、
中島さんが鬼のような顔して、立ってる。

「すいません・・・」

スニーカー履こうとしたけど、
焦ってて、うまくいかない。

「信じられない。
安静って言われてるのに。
それでも安田さんの彼女なんですか」

中島さんの剣幕に、
章ちゃんが目を覚ましちゃった。

「そんな怒らんといたって。
俺が悪いねん。
寝つき悪いから、
添い寝してって頼んでもうてん」

「けど・・・
身体のこと、一番に考えてあげられないなんて。
私なら・・・」

「すいませんでした」

もう一度、謝って、
中島さんから、昼食のトレイを受け取る。

「けど、彼女がおってくれた方が、
落ち着いて、
深く眠れるねん。
心配してくれてありがとうな」

章ちゃんの言葉に、
中島さん、すごく悔しそうにしてて、
過去に何かあったのかなあって、
勘ぐってしまった。