社長がお呼びです。７ (ページ33)

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過去の受賞作展示で、
章ちゃんの作品を見つけた。

改めて、章ちゃんて、
本当に凄い人なんだなあって、
また尊敬し直してるとこ。

「理系畑の僕には、
アートって、よく分からないんだけど。
章大くんの作品は好きだなあ」

「ほんまですか。
めっちゃ、光栄です」

お父さんと章ちゃん、
楽しそうに話し始めた。

和気藹々としてて、
なんだか、すごく仲良し。

この前の東京出張の時も、
二人で食事したんだって。

「お母さんも誘ったんだけどね。
今日はピアノのレッスンがあるから来られないって」

「そうなんだ・・・」

お母さんに認めてもらえない限り、
章ちゃんは私とは結婚する気がないみたいで、

そしたら、
永遠に章ちゃんのお嫁さんにはなれない気がしてくる。

あの頑固なお母さんを、
どう説得すれば良いのか、
なんの策も浮かばない・・・

授賞式が始まった。

司会者の女の人が、
緊張した面持ちで、

「大賞の発表に移りたいと思います」

そう告げて、
空気が張り詰めてく。

祈るような気持ちで、
最終発表を待つ。

その空白は、
たったの数秒だったのに、
すごく長い時間が流れた気がしてる。

「大賞は、
神戸市、株式会社インフィニティアート所属、
神山智洋さんです」

・・・神山くんの名前が呼ばれた。

すごい。すごい。すごいよ。

思わず、章ちゃんと抱き合ってしまった。

神山くんは信じられないのか、
まだ放心してて、

愛理ちゃんも、
呼吸の仕方、忘れたかのように、
固まってる。

「神ちゃん、行こ」

章ちゃんが、神山くんの肩を抱いて、
ステージに向かって、歩き出した。

拍手の渦が起こる。

壇上に立った章ちゃんは、
自分のことのように、
誇らしげな顔してて・・・

神山くんの受賞挨拶の後に、
所属先の社長挨拶。

「先ほど、紹介に預かりました、
株式会社インフィニティアートの取締役代表の、
安田章大と申します」

章ちゃん、大事な場面では、
結構な確率で噛んじゃうから、心配。