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「思う存分、甘えていいから。
安静にしてて下さい」
「ほんまに?
ほんまに甘えてええん?」
「いいよ。
でも、安静第一だからね」
「分かってるって」
分かってるって言う割に、
私の手を引いて、不意打ちにキスしてくる。
「章ちゃん、ダメだよ」
「なんで?個室やしええやん」
「そういう問題じゃないの」
心臓がドキドキでうるさい。
さっきはオフィスで自分からキスしちゃったくせに・・・
「甘えてええて約束したのに。
ちゅうがあかんなら、
ぎゅってしたい」
ダメ、って答える前にもう、
ぎゅうって抱きしめられてた。
立ったまんまで、
私の方がずっと高いから、
抱きつかれてる、っていうか・・・
ちょうど胸のあたりに、章ちゃんの高い鼻が当たってる。
どうしよう。
こんな・・・
「Aちゃん、めっちゃバクバク言うてる。
さては、ドキドキしてんねんなあ?」
急に顔上げて、上目違いに見てくる。
「あ、当たり前でしょ。
病院でこんな・・・」
その時、こんこんとノックの音がした。
「安田さん、お食事です」
さっきの看護師さんの声だ。
慌てて、章ちゃんの肩を押して、
離れる。
中島さんて言ったっけ。
若くて可愛いかったんだよなあ。
あの子が章ちゃんのお世話するなんて、
ちょっとやだなあ。
「失礼します」
ナースの服って、
めちゃくちゃ可愛いく、
ちょっとえっちにも見える。
「ここにお食事置きますね。
食べられそうですか?」
ナースさん、
瞬時に、
ゴミ箱の中のアイスの空箱を、
横目でチェックして、
冷たい目で私を見た。
怖いぃ。
「余計な物は食べないで、
病院のご飯をちゃんと食べて治して下さいね」
章ちゃんには優しい笑顔。
天使のナースだ。
豹変っぷりが脱帽もの。
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作者名:fool x他1人 | 作成日時:2018年9月10日 10時